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 昭和59年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/1 

1 初犯者率及び平均刑期

 初めに,調査対象とした窃盗の有罪確定者中に占める初犯者率を見ると,II-25表のとおりである。全確定者中の初犯者率は,昭和34年以降各年次ともおおむね40%程度で推移していたところ,42年から上昇に転じ,45年には44.1%と最も高くなった。その後,若干の起伏を示しながらも低下傾向を示し,54年には33.9%と最低を記録し,以後の各年次はほぼ同水準にあったが,58年にはやや上昇して36.2%となっている。実刑者中の初犯者率は,34年,35年,36年の各13.8%が最も高く,その後ほぼ一貫して低下傾向にあり,54年には5.3%と最低の数値を示したが,55年以降はやや上昇している。執行猶予者中の初犯者率は,35年の73.7%が最高で,その後は,43年から46年の4年間に70%以上とやや高まりを見せた以外は,おおむね一貫して低下傾向を示し,57年に60.9%と最低となったが,58年にはやや反転して63.4%となっている。
 以上によれば,窃盗の有罪確定者中の初犯者率は,実刑者,執行猶予者を問わず,昭和34年以来おおむね低下してきている。すなわち,窃盗の有罪確定者には前科を有する者が多くなっており,特に実刑者のほとんどが前科者で占められているのであって,有罪確定者には犯罪傾向の進んだ者が多くなっていると言えよう。
 次いで,窃盗の有罪が確定した者について,その平均刑期の推移を見ると,II-4図のとおりである。実刑者中の初犯者では,最高18.5か月(昭和46年),最低14.0か月(54年)であるが,47年,48年ころを境として,それ以後低い年次が多くなっている。実刑者中の前科者の平均刑期は,最高19.′2か月(57年),最低15.4か月(34年)であり,34年以来ほぼ一貫して高くなってきている。執行猶予者の平均刑期は,初犯者と前科者の間の相違がほとんどなく(したがって,本表でも両者を合わせたグラフを示した。),年次推移の上でも余り変動がなく,最高12.9か月(57年),最低11.7か月(34年,35年)となっている。

II-25表 窃盗による有罪確定者中の初犯者率(昭和34年〜58年)

II-4図 窃盗による有罪確定者の平均刑期(昭和34年〜58年)