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 昭和58年版 犯罪白書 第4編/第1章/第2節/2 

2 薬物濫用の増加

 最近における少年非行の特徴の一つとして,覚せい剤及びシンナー等の薬物の濫用を挙げることができる。
 IV-10表は,最近3年間における覚せい剤事犯少年の学職別検挙人員を見たものである。昭和57年における検挙人員の総数は2,750人で,前年より175人(6.8%)増加している。学職別では,無職少年が55.3%,有職少年が36.1%,学生・生徒が8.6%であり,無職少年の比率に上昇傾向が認められる。また,57年における検挙人員を性別に見ると,総数では男子が多いが,中学生においては女子が男子を上回っているのが注目される。
 IV-11表は,最近5年間におけるシンナー等濫用少年の学職別検挙・補導人員を見たものである。昭和57年における検挙・補導人員の総数は4万9,638人で,前年より6,102人(14.0%)増加している。学職別に見ると,特に中学生においては,前年に比べて4,069人(53.8%)の増加となっている。

IV-10表 覚せい剤事犯少年の学職別検挙人員(昭和55年〜57年)

IV-11表 シンナー等濫用少年の学職別検挙・補導人員(昭和53年〜57年)

 このように,シンナー等の濫用行為は,厳しい取締りにもかかわらず増加しており,しかも,濫用による死亡事故が毎年少なからず発生している事実を考えると,この種少年非行の今後の推移には十分な関心を払う必要があると思われる。

IV-2図 凶悪犯及び粗暴犯少年の罪名別検挙・補導人員人口比の推移(昭和53年〜57年)