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2 仮出獄の運用 仮出獄は,法定の期間(有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年。ただし,少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者は,無期刑については7年,10年以上15年以下の有期刑については3年,不定期刑についてはその刑の短期の3分の1)を経過した後において,悔悟の情,更生意欲,再犯のおそれがないこと,社会の感情が仮出獄を是認することなどが認められ,保護観察に付することか本人の改善更生のために相当であると認められたときに,釈放の山帰住地等を指定して許可される。刑の種類別に,最近3年間における仮出獄の許否状況を,棄却率によって見ると,III-49表のとおりである。禁錮に比べて懲役が,有期刑に比べて無期刑が,不定期刑に比べて定期刑が,それぞれ高い棄却率を示しているが,特に,無期刑における棄却率が高い。
III-49表 刑名等の区分による仮出獄許否状況(昭和55年〜57年) なお,この無期刑及び長期刑(執行刑期8年以上)受刑者については,円滑な社会復帰を図る上で困難な問題がある場合が多いため,仮釈放の決定に際し,必要に応じて,帰住予定地に帰住する前に,いったん更生保護会に帰住させることとし,ここで,原則として3か月間,社会生活機能の回復,就職についての指導などを中心とする中間的な処遇(以下「中間処遇」という。)を行うことにより,仮釈放の積極・適正化策が講じられている。昭和57年において,中間処遇をするため仮出獄を許可された人員は,68人である。次に,刑務所入所度数の別に棄却率を見ると,III-50表のとおりであり,入所度数の多い者ほど棄却される割合が高いが,全般的に見て,いずれも逐年,棄却率は低下している。有期刑の者について,刑期別に棄却率を見ると,III-51表のとおりであり,刑期の長い者ほど棄却率が高くなる煩向が見られる。 III-50表 入所度数別仮出獄許否状況(昭和55年〜57年) III-51表 有期刑受刑者の刑期別仮出獄許否状況(昭和55年〜57年) 昭和57年に仮出獄を許された定期刑受刑者について,執行すべき刑期のうち,現に執行された刑期の割合(以下「執行率」という。)を累犯・非累犯別,刑期の段階別に見ると,III-52表のとおりである。総数において,非累犯,累犯のいずれにあっても,執行率が70%に満たない者の割合は低く,執行率が80%以上の者の割合が高いが,特に累犯にあっては,執行率90%以上の者が69.4%と高い割合を示し,その中でも,累犯で3年を超え5年以下の刑期の場合は,執行率90%以上の者が9割近くを占めて最も多い。III-52表 定期刑仮出獄者の累犯・非累犯別及び刑期別刑の執行率別構成比(昭和57年) III-53表 無期刑仮出獄者の在監期間(昭和55年〜57年) 仮出獄を許された無期刑受刑者の在監期間を最近3年間について見ると,III-53表のとおりであり,各年とも,在監期間が14年を超え18年以内の者の割合が高く,昭和57年においては,総数の68.5%を占めている。なお,無期刑についての仮出獄を取り消されて受刑し,再度仮出獄を許された無期刑受刑者は,57年においては7人であった。 |