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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第4章/第4節/2 

2 検挙状況等

 (1)検挙人員及び検挙率
 II-82表は,最近5年間における暴力犯罪の検挙人員及び検挙率の推移を示したものである。殺人の検挙率は,各年次とも80%台を維持しており,また,強姦と暴行・傷害も80%に近い検挙率を示しているが,強盗の検挙率は,他の暴力犯罪に比べ極端に低く,各年次とも30%を下回っており,しかも低下傾向がうかがえる。
 (2)犯人像
 近年,フランスでは,外国人が犯罪に関与する率の高いことが問題になっている。
 II-83表は,最近5年間における,暴力犯罪で検挙された人員に占める外国人の割合を見たものである。殺人では19%前後で推移していて,顕著な変化は見られないが,強盗では一貫して上昇しており,1981年には26%を超えている。強姦では年次によって起伏はあるが,最低でも25%弱であり,外国人の占める比率が他の暴力犯罪に比べて高い。暴行・傷害では,低下傾向にあるものの,なお1981年においても20%を超えている。1981年における外国人の全人口に占める比率が5.7%であり,全犯罪の検挙人員に占める外国人の比率が12.4%であることからみると,外国人は本国人よりも概して犯罪に関与することが多く,特に,暴力犯罪に多く関与していることがうかがえる。

II-82表 暴力犯罪の検挙人員及び検挙率フランス(1977年〜81年)

II-83表 暴力犯罪の検挙人員に占める外国人の比率フランス(1977年〜81年)

 なお,少年(フランスの場合,18歳未満の者をいう。)の暴力犯罪に関与する率を罪名別に見ると,年次を問わず,一貫して強盗及び強姦にあいて高い。ちなみに,1981年の検挙者で見ると,少年の占める比率は,強盗,強姦,暴行・傷害,殺人の順にそれぞれ28.2%,12.6%,9.1%,5.2%となっている。
 動機及び原因の面から殺人における犯人像を見てみると,最近5年間における殺人中,不良仲間間の抗争によるものが6%,利益を目的とするものが10%である。フランスの統計では,その他の動機・原因に基づくものを一括して利益を目的としないものとして扱っているが,その内訳の推移は,II-84表のとおりである。各年次とも,種々の争いや恨みに基づくものが最も多く,1981年には,この動機が従来の約40%から約75%に上昇したこと,激情によるものが低下傾向にあること及び性犯罪を伴うものが上昇傾向にあることなどが注目される。

II-84表 殺人の動機・原因フランス(1977〜81年)