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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第4章/第3節/3 

3 科刑状況等

 ドイツ連邦共和国では,1949年に制定された基本法の第102条で死刑の廃止が宣言されたため,暴力犯罪に対する最高の法定刑は,殺人(謀殺)などの無期自由刑である。
 1981年の暴力犯罪者に対する裁判所の終局処理状況を見ると,有罪率は,殺人90.3%,強盗91.1%,強姦81.2%,傷害90.6%であるが,交通犯罪を除く刑法犯総数における有罪率(93.3%)と比べると,いずれも低い。
 次に,1981年において有罪が確定した者のうち,少年裁判所法の適用を受けた者を除いて,その科刑状況を見ると,II-77表のとおりである。暴力犯罪全体で見ると,自由刑に処せられた9,020人のうち,その約6割が1年以下の刑期を宣告されており,2年を超える刑期の者は,無期自由刑を含めて25.4%である。また,保護観察のための刑の執行猶予を宣告された者は48.0%である。2年を超える刑期を言い渡された者の比率を罪名別に見ると,殺人で87.5%と最も高く,以下,強姦(49.8%),強盗(45.6%),傷害(3.9%)の順になっている。なお,執行猶予率を罪名別に見ると,殺人8.3%,強姦28.8%,強盗28.4%,傷害65,7%となっており,傷害が最も高い。

II-77表 暴力犯罪者の科刑状況ドイツ連邦共和国(1981年)