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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/5 

5 傷  害

 II-60表は,傷害について期間別平均再犯率等の推移を見たものである。
 一般再犯の再犯率を見ると,実刑者では昭和30年代後期の79,5%(単年次では31年の84.7%)が,執行猶予者では30年代前期の58.2%(単年次では30年の61.0%)がそれぞれ最高であり,両者とも先に見てきた殺人,強盗,強姦のいずれと比較しても高い。

II-60表 傷害事犯者の再犯率(昭和25年〜57年)

 次に,暴力再犯では,昭和30年代前期における実刑者の60.4%(単年次では31年の64.7%),執行猶予者の41.4%(単年次では31年の44.6%)が最も高い比率となっており,これは他の4罪種のいずれよりも高い。
 同一再犯の再犯率を見ると,ここでも昭和30年代前期の再犯率が最も高く,実刑者で45.7%(単年次では28年の50.4%),執行猶予者で28.7%(単年次では30年の31.8%)である。しかも,一般再犯者中に占める同一再犯者の比率を見ると,殺人,強盗,強姦がほぼ1割以下,恐喝がほぼ3割以下であるのに対し,傷害は際立って高く,上記の30年代前期で,実刑者では57.4%,執行猶予者で49.3%に及んでおり,傷害事犯者は同一事犯をくり返す危険性が極めて高いと言えよう。