第3章 電算化犯歴による暴力犯罪者の再犯の分析 法務総合研究所は,昭和53年以来,法務大臣官房秘書課電子計算機室の協力を得て,法務省において集中管理している,いわゆる電算化犯歴を活用して,累犯の分析等を行ってきた。本年は,暴力犯罪により有罪を言い渡された者について,その後の再犯状況に関する分析を試みた。対象は,昭和23年1月1日から57年12月31日までの35年間に裁判が確定した者で,日本国籍を有する犯歴保有者から業務上過失致死傷のみの犯歴保有者を除外して抽出した50万人中,後述する殺人等5罪種の犯歴保有者である。 なお,条例違反の犯歴及び道交違反による罰金以下の犯歴を除外したこと,並びに,併科刑又は複数刑の同時言渡しの場合は,そのうち最も重い1個の刑を,併合罪又は科刑上一罪については,あらかじめ定めた優先順位に従い1個の罪名を,それぞれ選択し,1犯歴・1刑・1罪名となるよう処理したことは従来と同様である。 今回の調査の対象とした罪種は,殺人,強盗,強姦,恐喝,傷害(本章においては,暴力行為等処罰法に規定される加重類型を除外している。)である。調査は,各年次において上記5罪種の暴力犯罪により,有期の懲役又は禁錮に処せられた者について,確定時から昭和57年12月末までの間における再犯(刑の確定をいう。)状況を見たものであり,何らかの再犯(以下本章では「一般再犯」という。)の有無,上記5罪種に刑法第208条の暴行,第208条の2の凶器準備集合・同結集,第222条の脅迫及び暴力行為等処罰法違反を加えた暴力事犯による再犯(以下本章では「暴力再犯」という。)の有無,同一罪種の再犯(以下本章では「同一再犯」という。)の有無について分析した。ただし,再犯刑については,懲役・禁錮に限らず,すべての刑種を見ている。
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