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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/2 

2 被害状況

 II-46表は,被害者が生命身体に受けた被害状況を見たものであるが,殺人では58.0%の被害者が殺害されるに至っている。強盗及び強姦では,負傷なしの者が最も多く,それぞれ62.6%,57.9%を占めている。

II-46表 被害者の身体被害(全国)

 なお,強盗は財産犯的特質も有するので,財産上の被害状況を見ると,II-47表のとおりである。強盗事件全体の29.9%において財産的被害がなく,以下,被害額1万円未満のものが19.2%,5万円未満のものが19.0%と続き,これらを合わせると68.2%に達している。これは,強盗がいかにその効少なく終わっているかを如実に示すものであろう。
 II-48表は,被害者による犯行の挑発等のいわゆる落ち度の有無を見たものである。殺人では,被害者において犯人に対し侮辱・暴行を加えたなどの落ち度が認められる事件が全体の55.5%で,被害者側に全く落ち度がない事件(43.8%)よりその比率が高い。強盗及び強姦では,被害者側に全く落ち度のないと認められる事件が大部分を占め,それぞれ97.7%,85.2%となっている。

II-47表 強盗における被害額(全国)

II-48表 被害者の挑発等の落ち度の有無(全国)