警察では,少年の喫煙,飲酒,けんか,その他自己又は他人の徳性な害する不良行為を補導の対象としており,その数は,毎年100万人前後を数えている。これらのうち,虞犯と認められる少年は,家庭裁判所に送致若しくは児童相談所に通告される。III-3図は,最近10年間の虞犯少年及び不良行為少年の補導人員の推移を示したものである。虞犯少年の補導人員は減少傾向にあり,昭和56年では4,922人となっている。不良行為少年の補導人員は最近5年間に約99万人から約120万人に激増している。このような虞犯と不良行為による補導人員の大きな差異と逆の動向は,前記不良行為のある少年と虞犯事由としての少年法第3条第1項第3号ニ(自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること)とを対照すれば分かるように,少年法の虞犯の認定上の問題等に起因するものと思われる。
III-12表 非行少年の特別法犯罪名別送致人員(昭和47年〜56年)
III-3図 虞犯・不良行為少年補導人員の推移(昭和47年〜56年)