更生保護会は,法務大臣の認可を受けて更生保護事業を行う民間の団体であり,宿泊保護等の直接保護事業を行うものと,これを助成するなどの連絡助成事業を行うものとの2種類がある。昭和56年12月末現在において,直接保護事業を行っているものは100団体(101施設),連絡助成事業を行っているものは59団体である。
直接保護事業を行う更生保護会(以下「更生保護会」という。)には,成人を対象とするもの,青少年を対象とするもの及び両者を対象とするものなどがあるが,種類別の保護施設数と収容定員は,II-78表のとおりであり,全収容定員は2,617人である。
更生保護会は,更生緊急保護の対象となる者又は保護観察中の者で保護観察所長から委託された者及び家庭裁判所から補導委託された者並びに更生緊急保護の期間経過後なお保護を必要とする者などに対して,宿泊供与に加えて食事の給与,就職の援助,相談・助言等の保護を行っている。
II-78表 更生保護会の種類別保護施設数と収容定員(昭和56年12月31日現在)
昭和52年以降56年までの5年間において,国の委託に基づき更生保護会に収容保護した人員は,II-79表のとおりである。各年次とも1万人を超える委託保護を実施しており,56年は1万571人で,前年に比べて416人増加した。56年4月1日から57年3月31日までの1年間における収容保護人員は,1人の1宿泊を1人と計算する延べ人員で見ると,52万4,512人に上っている。この内訳は,国の委託による保護が44万5,050人,更生保護会が保護の継続等を必要とすると判断して,国の委託に基づかずに任意で行う収容保護(任意保護)が7万9,462人である。
II-79表 事件種別更生保護会委託人員(昭和52年〜56年)
昭和56年の仮出獄者の保護観察新規受理人員1万5,036人のうち,4,099人(27,3%)の者が,また,満期釈放者1万4,463人のうち,1,969人(13.6%)の者が,委託に基づいて更生保護会に収容保護されている。
昭和56年の更生保護会委託終了者4,433人の宿泊保護の期間について見ると,刑執行終了者は3,561人であるが,そのうち,1か月を超えて6か月以内の期間にわたる者は,1,684人で約半数を占めており,他の起訴猶予者等(872人中247人)と比べて,保護の期間の長い者が多い。また,刑務所等から釈放されても,当面,宿所や適当な身寄りがない者に加えて,処遇が困難と思われる累犯性の高い者が集中する傾向にある。ちなみに,66年に刑務所を出所した者で,更生保護会に帰住を予定していた者5,536人のうち,3,103人(56.1%)の者が,刑務所入所度数3度以上の者である。