仮出獄は,法定の期間(有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年。ただし,少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者は,無期刑については7年,10年以上15年以下の有期刑については3年,不定期刑についてはその刑の短期の3分の1)を経過した後において,悔悟の情と更生意欲が認められること,再犯のおそれがないと認められること,社会の感情が仮出獄を是認すると認められることなどの事由を総合的に判断して,保護観察に付することか本人の改善更生のために相当であると認められたときに,釈放の日,帰住地等を指定して許可される。最近3年間における仮出獄の申請の棄却率を懲役・禁錮の別,有期刑・無期刑の別及び有期刑について定期刑・不定期刑の別に見ると,II-58表のとおりである。懲役に比べて禁錮が,無期刑に比べて有期刑が,定期刑に比べて不定期刑が,それぞれ低い棄却率を示しているが,前年に比べると,特に無期刑における棄却率の低下が著しい。
II-58表 刑名等の区分による仮出獄許否状況(昭和54年〜56年)
II一59表 累犯・非累犯別及び入所度数別仮出獄許否状況(昭和54年〜56年)
また,累犯・非累犯の別及び刑務所入所度数の別に棄却率を見ると,II-59表のとおりであり,累犯者に対する棄却率は非累犯者のそれより高く,入所度数の多い者ほど棄却される割合が高い。有期刑の者について,刑期の段階別に棄却率を見ると,II-60表のとおりであり,刑期の長い者ほど棄却率が高くなる傾向が見られる。
昭和56年に仮出獄を許された定期刑受刑者について,執行すべき刑期のうち,仮出獄によって出所するまでに執行された刑期の割合(以下「執行率」という。)を累犯・非累犯別,刑期の段階別に見ると,II-61表のとおりである。総数において,非累犯,累犯のいずれにあっても,執行率が70%に満たない低い執行率の者の割合は低く,執行率が80%以上の高い執行率の者の割合が高いが,特に累犯にあっては,執行率90%以上の者が72.7%と高い割合を示している。
II-60表 有期刑受刑者の刑期別仮出獄許否状況(昭和54年〜56年)
II-61表 定期刑仮出獄者の累犯・非累犯別及び刑期別刑の執行率別構成比(昭和56年)
非累犯について刑期の段階別に見ると,刑期が長くなるに従って低い執行率の者の割合が増加し,高い執行率の者の割合が減少している。一方,累犯について刑期の段階別に見ると,刑期の長短を問わず,低い執行率の者の割合が極めて低く,高い執行率の者の割合が高くなっている。
仮出獄を許された無期刑受刑者の在監期間を最近5年間について見ると,II-62表のとおりであり,各年とも,在監期間が14年を超え18年以内の者の割合が高く,昭和56年においては,総数の67.2%を占めている。なお,56年における在監期間が18年を超える者の割合は,総数の9.0%であり,最近5年間のうちで最も低い。
II-62表 無期刑仮出獄者の在監期間(昭和52年〜56年)