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 昭和56年版 犯罪白書 第4編/第3章/第4節/3 

3 少年司法の運用

 このような少年司法制度がどのように運用されているかを公的統計資料によって見ると,次のとおりである。

IV-82表 刑法犯の年齢層別有罪人員ドイツ連邦共和国(1979年)

 刑法犯の年齢層別有罪人員(交通犯罪を含む。以下同じ。)を見ると,IV-82表のとおり,1979年において,有罪人員約72万人のうち,少年は約8万人(10.8%),青年は約9万人(13.4%),計約17万人(24.2%)を占めている。
 少年裁判所における同年の刑法犯有罪人員約13万人(少年が約8万人,青年が約5万人。なお,このほかに通常の刑事裁判所で有罪になった青年が約4万人いる。)に対する処分件数約18万件(有罪の少年及び青年に対しては,懲戒処分と教育処分の併科などができる。)の処分別件数を見ると,IV-83表のとおり,総数では教育処分は21.3%,懲戒処分は68.6%,少年刑は10.1%である。少年刑を科せられた人員を少年・青年別に見ると,少年は6,487人(5.8%),青年は1万1,558人(17.2%)であり,少年刑は少年よりも青年に対して著しく多く科されていることを示している。

IV-83表 少年裁判所における少年・青年別刑法犯有罪人員及び処分別件数ドイツ連邦共和国(1979年)

IV-84表 少年裁判所における年齢層別懲戒処分件数ドイツ連邦共和国(1979年)

 懲戒処分の種類別件数を見ると,IV-84表のとおり,総数約12万件のうち,義務の賦課が40.7%で最も多く,次いで戒告(37.4%),少年拘禁(22.0%)の順になっている。少年拘禁の件数を少年・青年別に見ると,少年は1万7,414件(23.4%),青年は9,519件(19.7%)であり,少年拘禁が少年に対してより多く科されていることを示している。

IV-85表 少年裁判所における主要罪種別・処分の種類別有罪人員ドイツ連邦共和国(1979年)

 少年及び青年の少年裁判所における刑法犯有罪人員約13万人に対する主要罪種別の処分,及び少年刑の刑期について見ると,IV-85表のとおりである。少年刑を科された人員の比率は,殺人では100.0%,強盗では75.0%,傷害では17.8%,窃盗では16.9%,強姦では87.9%,放火では67.2%であり,少年刑に関する補充性の原則にもかかわらず,殺人,強盗,強姦,放火などの重大犯罪では,少年刑がかなり多く科されていることを示している。