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 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第3章/第1節/2 

2 仮出獄の運用

 仮出獄は,法定の期間(有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年。ただし,少年のとき懲役又は禁銅の言渡しを受けた者は,無期刑については7年,10年以上15年以下の有期刑については3年,不定期刑についてはその刑の短期の3分の1)を経過した後において,悔悟の情と更生意欲が認められること,再犯のおそれがないと認められること,社会の感情が仮出獄を是認すると認められることなどの事由を総合的に判断して,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められたときに,釈放の日,帰住地等を指定して許可される。最近3年間における仮出獄の申請の棄却率を懲役・禁錮の別,有期刑・無期刑の別及び有期刑について定期刑・不定期刑の別に見ると,III-63表のとおりである。懲役に比べて禁錮が,無期刑に比べて有期刑が,定期刑に比べて不定期刑が,それぞれ低い棄却率を示している。
 また,累犯・非累犯の別及び刑務所入所度数の別に棄却率を見ると,III-64表のとおりであり,累犯者に対する棄却率は非累犯者のそれより高く,入所度数の多い者ほど棄却される割合が高い。有期刑の者について,刑期の段階別に棄却率を見ると,III-65表のとおりであり,刑期の長い者ほど棄却率が高くなる傾向が見られるが,昭和55年において,刑期5年を超える者の棄却される割合は15.0%であり,刑期3年を超え5年以下の者の16.2%に比べて,逆に低い数値を示している。

III-63表 刑名等の区分による仮出獄許否状況(昭和53年〜55年)

III-64表 累犯・非累犯別及び入所度数別仮出獄許否状況(昭和53年〜55年)

III-65表 有期刑受刑者の刑期別仮出獄許否状況(昭和53年〜55年)

 昭和55年に仮出獄を許された定期刑受刑者について,執行すべき刑期のうち,仮出獄によって出所するまで執行された刑期の割合(以下「執行率」という。)を累犯・非累犯別,刑期の段階別に見ると,III-66表のとおりである。総数において,非累犯,累犯のいずれにあっても,執行率60%未満及び70%未満の者の割合は低く,執行率90%未満及び90%以上の者の割合が高いが,特に累犯にあっては,執行率が60%未満,70%未満及び80%未満の者の割合は,それぞれ非累犯に比べて著しく低く,逆に執行率90%以上の者の割合は,非累犯に比べて著しく高い。

III-66表 定期刑仮出獄者の累犯・非累犯別及び刑期別刑の執行率別構成比(昭和55年)

 非累犯について刑期の段階別に見ると,執行率が70%に満たない低い執行率の者の割合は,刑期5年を超える者において12.3%,3年を超え5年以下の者6.4%,2年を超え3年以下の者4.5%,1年を超え2年以下の者2.9%,1年以下の者2.1%と刑期が短くなるに従って減少しており,執行率80%以上の高い執行率の者の割合は,刑期5年を超える者において51.9%,3年を超え5年以下の者60.7%,2年を超え3年以下の者68.1%,1年を超え2年以下の者70.2%,1年以下の者81.9%と刑期が短くなるに従って増加している。一方,累犯について刑期の段階別に見ると,執行率が70%に満たない低い執行率の者の割合は,刑期5年を超える者において2.1%,3年を超え5年以下の者0.2%,2年を超え3年以下の者0.3%,1年を超え2年以下の者0.3%といずれも極めて低く,また,刑期1年以下の者はいないが,執行率80%以上の高い執行率の者の割合は,刑期5年を超える者において94.3%,3年を超え5年以下の者98.6%,2年を超え3年以下の者97.8%,1年を超え2年以下の者97.6%,1年以下の者99.0%と刑期の長短を問わず著しく高い。

III-67表 無期刑仮出獄者の在監期間(昭和51年〜55年)

 仮出獄を許された無期刑受刑者の在監期間を最近5年間について見ると,III-67表のとおりであり,各年とも,在監期間が14年を超え18年以内の者の割合が高く,昭和55年においては,総数の59.6%を占めている。なお,55年における在監期間12年以内の者の割合は,総数の14.0%であり,最近5年間のうちで最も高い。