前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第2章/第5節/2 

2 収容者の処遇

 婦人補導院の収容者は,心身に障害があり,知能が低く,累犯性の高い者が多いことにかんがみ,個々のニーズに応じた個別指導が行われている。
 処遇の内容としては,生活指導,職業補導,医療,院外指導,体育・レクリエーション,クラブ活動等であるが,再犯防止の視点から,売春に対する価値観と態度変容を目標とし,視聴覚教材,集団討議,個別面接などにより直接間接に目標への働きかけを行っている。このほか生活指導としては,規則正しい生活管理,健全な集団作りなどに重点をおいている。また,篤志面接委員による保護相談,職業相談なども行われている。
 職業補導では,家事の基礎指導や,園芸指導などを通して,社会生活に必要な知識・技能を付与するだけでなく,職業生活に対する健全な態度の形成や勤労意欲の喚起を重視している。
 医療は,更生の妨げとなる心身の障害の発見と治療,特に,性病の治療には重点をおいている。また,衛生講話,衛生映画等を活発に行い,健康管理と性病予防などにつとめている。
 昭和55年中に婦人補導院から出院した25人の帰住先について見ると,親族のもと8人,内夫のもと4人,雇主のもと4人,保護施設8人,病院1人となっており,出院後の帰住先の環境に恵まれない者が多いので,これらの者の社会復帰に必要な諸施策については,関係機関と十分な連携を保ちつつその推進を図っている。