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 昭和56年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/4 

4 判  決

 前記ドイツ連邦共和国の研究によると,銀行強盗犯人(成人)に対する判決は,II-50表のとおりである。懲役(及び禁錮)5年未満が66.5%,5年以上が33.4%,7年以上が11.0%であり,我が国における判決と似た傾向を示している(同国における強盗の法定刑は,単純強盗は1年以上,銃器携帯等の加重強盗は5年以上の自由刑である。)。ただ,少年に対する判決を見ると,有罪になった44人の全員が少年刑(14人が不定期刑,28人が定期刑,2人が宣告猶予)を受けており,かなり厳しい量刑傾向を示している。なお,金融機関強盗に関する判決が強盗一般の判決に比べて,幾分厳しい傾向があると指摘されているのも,我が国と共通している。
 アメリカにおける連邦金融機関強盗(連邦地方裁判所の管轄に属する銀行強盗と郵便局強盗のみ)に関する1978年の判決を見ると,II-51表のとおり,拘禁刑が91.0%,プロベーションが8.8%である。拘禁刑のうち,スプリット・センテンス(splltsentence,6月以下の拘禁刑と相当期間の保護観察を結合した刑)及び少年の不定期刑等を除いた「通常の刑」の刑期別構成比を見ると,5年以上の拘禁刑が86.4%を占めている。前記のとおり,我が国及びドイツ連邦共和国における金融機関強盗の実刑判決の刑期は,5年を超え,又は5年以上の刑がそれぞれ38.9%と33.4%であるのに比べると,アメリカの金融機関強盗犯人に対する判決はかなり厳しいようである(同国における連邦銀行強盗の法定刑は,被害金額によって異なるが,重いもので1年以上25年以下である。)。

II-50表 金融機関強盗事犯に対する判決の刑期ドイツ連邦共和国(1964年〜66年)

II-51表 金融機関強盗事犯に対する連邦地方裁判所の判決アメリカ(1978年)