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 昭和56年版 犯罪白書 第1編/第4章/第1節 

第4章 電算化犯歴による量刑の分析

第1節 概  説

 法務総合研究所は,昭和53年版犯罪白書以来,法務大臣官房秘書課電子計算機室の協力を得て,法務省において集中管理されているいわゆる電算化犯歴から,東京などに本籍を有する前科者を抽出して,累犯現象の分析をしてきたが,本年は,角度を変えて,罪名別の量刑についての分析を試みた。対象期間は,昭和23年1月1日から55年12月31日までの33年間で,対象者は,55年12月末現在,犯歴電算化対象庁となっている東京,大阪,神奈川,愛知,兵庫,福岡,茨城,京都,滋賀,広島,群馬,静岡,長野,三重,宮城,埼玉,千葉,奈良,和歌山,岐阜,山口,岡山,佐賀,香川,山形,岩手,熊本,大分,長崎,栃木及び北海道の31都道府県に本籍を有する前科者から抽出した者であるが,前年の電算化犯歴の分析で明らかなように,業務上過失致死傷犯歴保有者が過半数を占めるという特殊性があるので,各罪名の対象者をできるだけ多く確保するため,業務上過失致死傷については,無作為に抽出した50万人中,業務上過失致死傷犯歴保有者を対象とし,業務上過失致死傷以外の罪名については,業務上過失致死傷犯歴保有者を除外して抽出した50万人中,後述する殺人等の罪名の者を対象とした。
 なお,条例違反の前科及び道交違反による罰金前科の犯歴を除外したこと,並びに,併科刑又は複数刑の同時言渡しの場合は,そのうち最も重い1個の刑を,併合罪又は科刑上一罪については,あらかじめ定めた優先順位に従い1個の罪名をそれぞれ選択し,1犯歴・1刑・1罪名となるように処理したことは従来と同様である。
 今回,対象とした罪名は,自由刑として,凶悪犯の殺人(刑法第199条ないし第203条),強盗致死傷(強盗強姦・同致死を含む。刑法第240条,第241条,第243条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第4条),強盗(刑法第236条ないし第239条,第243条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の常習特殊強盗,第3条の常習累犯強盗),粗暴犯の傷害(刑法第204条,第206条,第207条),恐喝(刑法第249条,第250条),財産犯の窃盗(刑法第235条,第235条の2,第243条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の常習特殊窃盗,第3条の常習累犯窃盗),詐欺(刑法第246条,第248条,第250条),過失犯の業務上過失致死傷(刑法第211条),薬物犯罪の覚せい剤取締法違反であり,罰金刑として,過失犯の業務上過失致死傷,粗暴犯の傷害,暴行(刑法第208条),風紀犯罪の賭博(刑法第185条,第187条)である。