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 昭和56年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/4 

4 暴走族

 警察庁の調査によれば,昭和55年11月末現在における暴走族は,グループ数754,構成員数3万8,952人である。暴走族は,51年11月末当時348グループ,2万831人であったが,その後増加して,53年6月末には460グループ,2万6,189人まで増加した。しかしながら,同年に行われた道路交通法の改正で,共同危険行為等の禁止規定が新設されたこと,違反に対する行政処分が強化されたことなどから解散するグループが増加し,54年6月末には381グループ,1万9,643人に減少して一時なりをひそめていたが,同年9月ころから再び活発な動きを示し,同年11月末には472グループ,2万5,183人となり,55年11月末には,前述のとおり,過去最高の人員となっている。
 最近3年間における暴走族の違反態様別検挙件数及び検挙人員は,I-55表のとおりである。昭和55年における検挙件数,検挙人員は,ともに前年を大きく上回り,検挙件数は前年より2万3,477件(125.9%)増加し,検挙人員は前年より2万3,356人(104.9%)増加している。違反態様別に見ると,特別法犯(道路交通法違反を除く。)の検挙件数が前年の3.7倍,検挙人員が2.9倍で,刑法犯のそれが2.5倍,1.5倍,道路交通法違反がともに2.2倍に激増している。特に,55年においては,特別法犯の「その他」の検挙件数及び検挙人員が前年との比較で最も増加率が高いが,これは,主に道路運送車両法違反(ナンバー及びナンバープレートの隠ぺい)の激増によるものである。刑法犯では,公務執行妨害の検挙人員の減少を除き,傷害・暴行,凶器準備集合,暴力行為等処罰法違反のいずれも前年より検挙件数,検挙人員とも著しく増加しており,暴走族の凶悪化・粗暴化傾向がますます顕著になってきている。また,道路交通法違反では,行政処分の強化によって54年に激減した酒酔い・酒気帯びの検挙件数及び検挙人員が,再び増加して53年の数字を上回ったのをはじめ,すべての態様で検挙件数,検挙人員ともに前年より大幅に増加している。
 昭和53年の道路交通法の改正により新設された共同危険行為等の禁止規定違反による検挙状況を見ると,検挙件数は,55年には前年より129件増加して252件,検挙人員は,3,725人増加して6,130人となっている。なお,このうち,1,187人が逮捕されているが,これは暴走族で道路交通法違反によって逮捕された人員の約4割を占めている。

1-55表 暴走族の違反態様別検挙状況(昭和53年〜55年)