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2 収賄事犯 I-36表は,昭和46年から50年までの5年間(以下本節において「前期」という。)と51年から55年までの5年間(以下本節において「後期」という。)にそれぞれ収賄罪で検挙された人員の多かった公務員(いわゆる「みなす公務員」を含む。)の職種につき,上位10位までを掲げて,その変遷を比較してみたものである。収賄事件の全検挙人員について見ると,後期は1,124人で前期に比べて600人(34.8%)も減少している。職種別では,前期,後期とも,土木・建築関係の地方公務員が第1位,地方公共団体の各種議員が第2位を占め,この両者で占める比率は,前期で49.1%,後期で44.0%と約半数近くを占めている。全検挙人員のうち,地方公務員は,前期で78.1%,後期で77.8%を占めており,地方公務員による収賄事犯の占める比率が極めて大きい。国家公務員について見ると,前期は労働省関係が44人で第6位,農林水産省関係が40人で第7位,建設省関係が35人で第8位,大蔵省関係が34人で第9位であったが,後期では,建設省関係,郵政省関係が各23人で第6位,運輸省関係が20人で第8位,文部省関係が15人で第10位となっている。前期には10位以下であった郵政省関係,運輸省関係,文部省関係が10位以内に上昇していることが注目される。この種事犯は,収賄者,贈賄者の双方が罰せられ,特定の被害者が存在しないから,極めて潜在性が強く,その取締りが困難なこともあり,相当数の暗数があり得ると考えられる。ところで,最近の収賄事犯の特徴としては,賄賂額が多額化していることが挙げられるが,55年においても,2,600万円を超える賄賂を収受したとして起訴された市長などがいる。
I-36表 収賄公務員の所属別検挙人員(昭和46年〜50年,51年〜55年) I-37表 収賄事件通常第一審科刑状況 (昭和50年〜54年) I-37表は,昭和50年以降の5年間について収賄事件の通常第一審における科刑状況を刑期別に示したものである。54年において懲役刑に処せられた者は前年より1人増加して179人で,懲役1年以上の刑に処せられた者の比率は57.5%である。実刑人員は,54年には前年より8人減の10人であるが,その刑期を見ると,懲役3年を超える者が2人,3年の者が1人,2年以上3年未満の者が2人,1年以上2年未満の者が5人となっている。執行猶予率は,53年に90%以下となったが,54年には再び90%を超え,94.4%の高率となっている。 |