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 昭和56年版 犯罪白書 第1編/第2章/第3節/1 

1 公務員犯罪の受理・処理

 I-33表は,最近3年間において検察庁が受理した公務員(公社・公団の職員のようないわゆる「みなす公務員」を除く。)による道交違反を除く犯罪を罪名別に示したものである。受理人員総数は,昭和54年にはじめて2万人を超え,55年では前年より更に1,026人増の2万1,192人となっている。罪名別の受理人員を見ると,業過が1万5,257人(刑法犯の75.9%,全体の72.0%)と圧倒的に多い。刑法犯では,偽造を除いていずれも前年より増加し,詐欺が206人(前年より100.0%増加),横領が212人(同58.2%増加),収賄が626人(同45.9%増加)などとなっている。特別法犯は前年の1,337人から251人(18.8%)減少して1,086人である。55年における特異な事犯としては,簡易裁判所判事による職権濫用,収賄事件や国立病院医師による刑の執行停止中の暴力団組長の診断に関する虚偽公文書作成,同行使,収賄事件等が挙げられよう。

I-33表 公務員犯罪罪名別検察庁新規受理人員(昭和53年〜55年)

 I-34表は,最近3年間における道交違反を除く公務員犯罪の処理状況を示したものである。昭和55年における起訴人員総数は1万1,484人で,その83.6%は業過によって占められている。起訴率は全体で55.2%である。罪名別に見ると,刑法犯では収賄が73.1%と最も高く,業過(64.2%)がこれに続いている。職権濫用に対する起訴は例年極めてまれで,55年においては1人にすぎないが,これは,この種事件の大部分が,警察,検察庁,裁判所,矯正施設等の職員に対する告訴,告発事件であって,事実自体が犯罪とならないもの,あるいは,犯罪の嫌疑がないものなどが多いためである。この種事件については,不起訴処分に不服がある者は,裁判所に対して付審判の請求をすることができる。I-35表は,50年以降の年間における付審判請求事件の決定状況を示したものであるが,この5年間で付審判の決定がなされたのは,50年に2件,52年に1件あるだけで,54年においては1件もない。

I-34表 公務員犯罪罪名別検察庁処理人員(昭和53年〜55年)

I-35表 付審判請求事件決定状況(昭和50年〜54年)