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 昭和55年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/4 

4 保護観察終了者の再犯率

 昭和54年に保護観察を終了した者は,交通短期保護観察処分少年及び婦人補導院仮退院者を除いて4万6,493人であるが,このうち,保護観察期間中に保護処分又は刑事処分(起訴を含む)を受けた者は8,671人であり,その比率(以下「再犯率」という。)は18.7%である。保護観察終了者の主要罪名・非行名別に再犯率を見ると,II-69表のとおりであって,保護観察の種類においては,保護観察付執行猶予者の38.4%が最も高く,仮出獄者の2.9%が最も低い。仮出獄者の再犯率の低いのは,仮出獄者の場合,保護観察期間が概して短いためであると考えられる。罪名と再犯率との関係を見ると,総数においては,毒物及び劇物取締法違反の29.9%が最も高く,以下,虞犯24.1%,窃盗22.8%の順である。保護観察処分少年においては,詐欺の31.1%が最も高く,毒物及び劇物取締法違反の30.2%がこれに次ぎ,少年院仮退院者においては,窃盗32.8%,詐欺30.3%,仮出獄者においては,強盗6.7%,強姦5.2%,保護観察付執行猶予者においては,毒物及び劇物取締法違反66.7%,覚せい剤取締法違反59.5%の順となっている。なお,最近5年間について再犯率の推移を見たのが,II-70表である。少年院仮退院者の再犯率は横ばいであるが,保護観察処分少年及び保護観察付執行猶予者については上昇傾向が認められる。

II-68表 保護観察終了者の終了時における就業状況構成比

II-69表 保護観察終了者の主要罪名・非行名別再犯率

II-70表 保護観察終了者の保護観察中における再犯率