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2 仮出獄の運用 仮出獄は,有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年(ただし,少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者は,無期刑については7年,10年以上15年以下の有期刑については3年)をそれぞれ経過した後において,悔悟の情と更生意欲が認められること,再犯のおそれがないと認められること,社会の感情が仮出獄を是認すると認められることなどの事由を総合的に判断して,保護観察に付することか本人の改善のために相当であると認められたときに,釈放の日,帰住先等を指定して許可される。仮出獄の審理の結果,申請が棄却される割合を見ると,II-54表のとおりであるが,懲役・禁錮の別,有期刑・無期刑の別及び有期刑について定期刑・不定期刑の別に棄却率を見ると,II-55表のとおりである。これによると,懲役に比べて禁錮が,無期刑に比べて有期刑が,定期刑に比べて不定期刑が,それぞれ低い棄却率を示している。また,累犯・非累犯の別及び入所度数の別に棄却率を見ると,II-56表のとおりであり,累犯者に対する棄却率は非累犯者のそれより高く,入所度数の多い者ほど棄却される割合が高い。有期刑の者について,刑期の段階別に棄却率を見ると,II-57表のとおりであり,刑期の長い者ほど棄却率が高い。
II-55表 刑名等の区分による仮出獄許否状況 II-56表 累犯・非累犯別及び入所度数別仮出獄許否状況 II-57表 有期刑受刑者の刑期別仮出獄許否状況 昭和54年に仮出獄を許された定期刑受刑者について,執行すべき刑期のうち,仮出獄によって出所するまで執行された刑期の割合(以下「執行率」という。)を累犯・非累犯別,刑期の段階別に見たのが,II-58表である。総数において,非累犯,累犯のいずれにあっても,執行率59%以下及び60〜69%の者の割合は低く,執行率90%以上の者の割合が高いが,特に累犯にあっては,執行率59%以下の者の割合が0.1%,60〜69%の者の割合が0.3%,70〜79%の者の割合が2.1%と非累犯に比べて低く,逆に執行率90%以上の者の割合は69.0%であって,非累犯の27.4%に比べて著しく高い。累犯者に対しては,非累犯者よりもより多くの矯正教育を必要としていることによると思われる。非累犯について刑期の段階別に見ると,執行率59%以下及び60〜69%の合計の割合は,刑期5年を超える者において9.5%,3年を超え5年以下の者7.9%,2年を超え3年以下の者5.4%,1年を超え2年以下の者3.3%,1年以下の者1.3%と,刑期の短くなるに従って低い執行率の者の割合が減少しており,執行率80〜89%及び90%以上の合計の割合では,刑期5年を超える者において54.9%,3年を超え5年以下の者56.8%,2年を超え3年以下の者63.3%,1年を超え2年以下の者69.2%,1年以下の者83.4%と刑期が短くなるに従って増加している。このように,刑期の短い者の場合に執行率の高い者の割合が多いのは,非累犯者であっても,短い刑期内において矯正教育の効果をあげることが概してむずかしいためと考えられる。II-58表 定期刑仮出獄者の累犯・非累犯別及び刑期別刑の執行率別構成比 一方,累犯について刑期の段階別に見ると,執行率59%以下及び60〜69%の合計の割合は,刑期5年を超える者において0.7%,3年を超え5年以下の者0.9%,2年を超え3年以下の者0.6%,1年を超え2年以下の者0.4%,1年以下の者0.1%と極めて低く,執行率80〜89%及び90%以上の合計の割合は,刑期5年を超える者において93.4%,3年を超え5年以下の者97.7%,2年を超え3年以下の者97.8%,1年を超え2年以下の者97.4%,1年以下の者97.9%と著しく多く,刑期の長短を問わず,執行率の高い者の割合が多い。累犯者にあっては,刑期の短い場合はもちろん,比較的長期の刑においても,矯正教育によって仮出獄相当にまで至らせることが困難な者が多いことを物語るものといえよう。II-59表 無期刑仮出獄者の在監期間 仮出獄を許された無期刑受刑者の在監期間を最近3年間について見ると,II-59表のとおりで,各年とも,在監期間が14年を超え18年以内の者の割合が多いが,昭和54年は,総数の69.8%を占めている。 |