婦人補導院は，売春防止法第5条の罪を犯して補導処分に付された成人の女子を収容し，これに更生のために必要な補導を行う施設である。収容期間は6箇月で，その間，規律ある明るい環境のもとで，社会生活に適応させるために必要な生活指導と職業補導とを行い，併せて更生の妨げとなる心身の障害を除去するための医療を施している。
　II-52表は，最近5年間における婦人補導院の入出院状況を見たものであるが，昭和54年について見ると，新収容者数は，前年より6人増加して21人となっている。
　昭和54年の新収容者の特性としては，精神薄弱者が13人と6割強を占め，更に，大多数の者が心身に何らかの障害を持っている。年齢については，20歳代が4人，30歳代が9人，40歳以上が8人となっている。売春経験の年数は，かなり長く，5年未満の者は，わずか7人である。また，売春関係の刑事処分歴がある者は，19名となっている。

II-52表　婦人補導院の入出院状況

　このように婦人補導院の収容者は，概して高齢で，心身に障害があり，かつ，累犯性の高い者が多いことにかんがみ，婦人補導院では，昭和51年から新しい処遇体系に基づいて，収容者の特性に応じ，徹底した個別処遇を実施している。その処遇の内容は，従来の職業補導，生活指導，医療，環境調整等のほかに，売春そのものを問題として取り上げ，フィルム等の教材による学習や集団討議，個別面接等を行っている。