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 昭和55年版 犯罪白書 第1編/第3章/第4節/3 

3 業過初犯者の再犯率

 I-89表は,昭和43年及び49年に業過初犯として有罪確定裁判を受けた者(ただし,当該年次に実刑裁判を受けた者を除き,これに代えて,初犯で実刑裁判を受けて服役し,当該年次に刑務所から出所した者とする。)について,刑種,刑期等別に5年以内の累積再犯率を見たものである。43年の業過初犯者について見ると,総数では,2万1,175人中,1年以内に再犯を犯し有罪確定裁判を受けた者は5.2%,2年以内では9.7%,3年以内では13.2%,4年以内では16.0%,5年以内で18.1%となっている。刑種・刑期等別に見ると,1年以内では,1年を超える実刑で服役後出所した者が9.5%,1年以下の実刑で服役後出所した者が5.8%と高い比率を示しており,5年以内では,1年以下の実刑者が26.2%と最も高く,1年を超える実刑者が23.8%で続いている。罰金の金額別では,再犯率にあまり差はない。保護観察付執行猶予者の5年以内の再犯率は9.1%と極端に低く,実数も4人にすぎない。
 次に,昭和49年の者について見ると,総数では,1万5,610人中,1年以内の再犯率は2.0%,2年以内では3.9%,3年以内では5.5%,4年以内では7.2%,5年以内では8.8%であり,43年当時の初犯者と比べると,再犯率は,各期間内とも半減している。刑種・刑期等別に見ると,1年以内では,保護観察付執行猶予者が5.4%と高い比率を示しているが,1年を超える実刑者では,再犯者はいない。5年以内で見ると,1年以下の実刑者が17.1%と最も高く,次いで,保護観察付執行猶予者(16.2%),1年を超える実刑者(12.5%)と続いている。罰金者の再犯率は,金額の多寡でほとんど差がないことは43年の場合と同様であるが,金額の多い者の再犯率がやや高い。43年と49年とを比較すると,全体的には再犯率は低下しているが,保護観察付執行猶予者の場合は,5年以内で43年の9.1%から49年の16.2%と大幅に上昇しており,また,1年以下の実刑の者が依然として比較的高い再犯率を示している。

I-89表 業過初犯者の刑種・刑期等別累積再犯率