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 昭和55年版 犯罪白書 第1編/第2章/第8節/1 

第8節 外国人犯罪と日本人の国外犯

1 外国人犯罪

 I-77表は,昭和44年,53年,54年における外国人登録法に基づく登録者及び外国人入国者を国籍別に示したものである。登録者は,年々増加して,54年には77万4,505人となり,一方,入国者も逐年増加して,54年には113万4,685人となり,10年前に比べると飛躍的な増加となっている。登録者の大多数は,韓国・朝鮮人であり,入国者のうち最も多数を占めるものは,アメリカ人である。
 I-78表は,最近3年間における外国人の自動車等による業過及び道交違反を除く検察庁新規受理人員及び全新規受理人員中に占める外国人の比率を罪名別に示したものである。昭和54年の受理人員総数は2万1,632人,全新規受理人員中に占める比率は3.9%となっており,いずれも逐年減少している。54年の罪名別受理人員を見ると,外国人登録法違反及び出入国管理令違反を除けば,窃盗が3,608人と首位を占め,以下,傷害,覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反の順となっている。また,54年における全新規受理人員中に占める外国人の比率を罪名別に見ると,外国人登録法及び出入国管理令の各違反を除けば,大麻取締法違反(36.3%),関税法違反(35.6%)などが高く,刑法犯では強盗(6.0%),が最も高くなっている。殺人及び強盗は,58年まで減少していたが,54年に増勢に転じたことが注目される。

I-77表 国籍別外国人登録者・入国者数

I-78表 外国人の罪名別検察庁新規受理人員

I-79表 外国人の国籍・罪名・刑名別通常第一審有罪人員 (昭和53年)

 次に,昭和53年中に通常第一審において有罪裁判を受けた外国人を国籍別,罪名別及び刑名別に見ると,I-79表に示すとおりである。有罪人員総数3,085人のうち,罪名別では,覚せい剤取締法違反が531人で最も多く,以下,窃盗(439人),傷害(278人),外国人登録法違反(271人)などの順となっている。国籍別では,韓国・朝鮮人が全体の90.2%を占めており,その罪名を見ると,覚せい剤取締法違反及び窃盗が多い。アメリカ人は,国籍別で2位を占め,その罪名を見ると,大麻取締法違反及び強盗(強盗致死傷を含む。)が多くなっている。また,刑名別に見ると,大部分が有期懲役若しくは有期禁錮である。罰金は,傷害,刑法犯の「その他」中の過失傷害及び特別法犯の「その他」中の道路交通法違反によるものが大部分である。