I-74表は，最近10年間における交通関係の業過を除く刑法犯検挙人員及び人口比を男女別に示したものである。女性の検挙人員は，昭和45年の4万7,506人からおおむね増加の傾向をたどっていたが，54年には前年より3,551人減少して6万9,435人となっている。女性の有責人口1,000人に対する検挙人員の割合も，この間ほぼ一貫して増加していたが，54年には実数と同様に減少し，1.5となっている。一方，男性の検挙人員は，45年の33万3,344人から，多少の起伏はあるもののおおむね減少傾向を示し，54年には前年より1万65人減少して29万8,691人となっている。また，刑法犯検挙人員総数中に占める女性の割合すなわち女性比は，18.9と前年よりわずかに低くなっている。

I-74表　男女別刑法犯検挙人員

I-75表　女性刑法犯罪名別検挙人員

　昭和54年における交通関係の業過を除く女性刑法犯罪名別検挙人員及び女性比を前年と対比して示したものが，I-75表である。54年において，検挙人員の最も多いものは窃盗の6万2,062人で，総数の89.4%を占めているが，その他の罪名では詐欺1,035人(1.5%)，横領900人(1.3%)，傷害・同致死678人(1.0%)の順となっている。また，女性比が高く，その意味で女性犯罪の典型とも言い得るものとして，まず，嬰児殺が挙げられる。嬰児殺の検挙人員は111人で，女性比は92.5%と最も高くなっている。そのほか，女性比が比較的高いものは，自殺関与(33.3%)，窃盗(26.5%)，尊属殺(18.8%)などである。
　次に，昭和54年の交通関係の業過を除く女性刑法犯検挙人員の年齢層別構成比を見ると，20歳未満が37.6%と首位を占め，次いで，30歳代の18.0%，20歳代の15.9%，40歳代の13.5%，50歳代の9.2%，60歳以上の順となっている。