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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節 

第5節 恩  赦

 恩赦には,大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権の5種があり,政令恩赦(政令によって一律に行われ,一般恩赦ともいわれる。)又は個別恩赦(特定の者に対して個別的に行われ,これは,更に常時恩赦と通常,政令恩赦に付随して行われる特別恩赦とに区分される。)として実施される。
 政令恩赦は,政令で罪や刑の種類その他を定め,その要件に該当する者のすべてに対して実施されるが,これに対して,個別恩赦は,裁判で有罪が確定した特定の者を対象として行われる。
 II-82表は,昭和53年における常時恩赦の受理・処理状況を示したものである。常時恩赦は,検察官,刑務所長又は保護観察所長が,本人からの出願に基づき,又は職権で中央更生保護審査会に上申した者について,同審査会が恩赦相当として法務大臣に恩赦の申出をした者に対して,閣議で決定して実施される。53年に恩赦の閣議決定を受けた人員は246人で,処理人員の84.2%を占め,前年に比べて42人増加している。一方,同審査会で恩赦不相当とされた人員は39人で,前年に比べて77人減少している。
 次に,恩赦を受けた者の恩赦の種類別人員を見ると,II-83表のとおりで,昭和53年では復権が187人(76.0%)で最も多く,刑の執行の免除がこれに次いでいる。なお,刑の執行の免除を受けた47人の大半は,無期刑で仮出獄中の者であって,その人数は40人に達している。

II-82表 常時恩赦の受理及び処理人員

II-83表 常時恩赦の種類別人員