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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/2 

2 累進処遇制度

 現行の処遇制度の基本的なものの一つに,累進処遇制度がある。この制度は,受刑者の自発的な改善への努力を引き出すために設けられたもので,行刑の過程に数個の段階を設け,入所当初の最下級から,その行刑成績に応じて順次上級に進級させ,それにつれて漸進的に優遇の付与及び自由制限の緩和を行って社会生活に近づけるとともに,共同生活における責任を加重することにより,社会適応化を図ろうとする処遇方法である。この制度は,我が国では,昭和9年以降実施されているが,戦後における社会思潮の変化,矯正理論の発展等に伴って,制度の内容には数次にわたる改正がなされ,級別の処遇差が縮少されるなどの変容を生じている。今後の課題は,分類制度とどのように組み合わせていくかということであり,現行累進制度の持つ形式性・画一性を排除し,科学的な分類判定に基づき,入所から釈放に至る発展的な処遇展開のわく組みとして,より適切な段階的処遇制度とすることが望ましいものとされている。