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 昭和54年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節 

第2節 公害犯罪

1-28表 公害犯罪罪名別検察庁新規受理人員(昭和51年〜53年)

 I-28表は,最近3年間における公害犯罪の検察庁新規受理人員を罪名別に示したものである。受理人員総数は,昭和51年まで増加を続けていたが,52年以降は減少に転じ,53年には,前年より275人減の6,299人となった。53年について,罪名別受理人員を見ると,廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反が4,072人と全体の6割以上を占め,これに海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反(1,147人),水質汚濁防止法違反(589人)などが続いている。全般的な減少傾向の中で,廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び水質汚濁防止法の各違反は,なお増勢を示している。
 警察庁の調査により,最近3年間について,産業廃棄物の不法投棄事犯に係る廃棄物排出量及び排水基準違反の検挙件数を,それぞれ業種別に見ると,I-29表及びI-30表のとおりである。昭和53年において,最も多量に廃棄物を排出した業種は建設業であり,鉄鋼業及び農業がこれに続いている。ここ3年間を通じて,製造業及び非金属鉱業における排出量は激減しているが,建設業については必ずしも改善は見られない。排水基準違反については,金属製品製造業及び食料品製造業が,例年,検挙件数で上位を占めており,各業種について,最近3年間の推移を見ると,全般的に検挙件数の減少傾向は見られない。

I-29表 不法投棄産業廃棄物業種別排出量(昭和51年〜53年)

I-30表 排水基準違反業種別検挙件数(昭和51年〜53年)

 I-31表は,最近3年間における公害犯罪の罪名別検察庁処理人員を示したものである。昭和53年の起訴人員総数は,4,231人と前年より405人減少しており,罪名別起訴人員を見ても,53年においては,水質汚濁防止法違反を除いて,すべて前年より減少している。53年の起訴人員総数の98.2%は略式手続によって処理されており,公判請求された者は78人である。その中では,廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反が48人と最も多く,「その他」に含まれている食品衛生法違反が11人でこれに次いでいる。なお,58年の起訴率は,総数で67.3%と前年(71.8%)より若干低下している。

I-31表 公害犯罪罪名別検察庁処理人員(昭和51年〜53年)