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4 再犯率等の年次別比較 前述した38万人の調査対象者の犯歴を資料として,昭和23年から42年までの20年間の各年に初犯の有罪確定裁判を受けた者について,その後再犯を犯した者の比率と再犯期間(ここでは,初犯の有罪裁判の確定日から再犯のそれの確定日までの期間をいう。)を各年次ごとに見ると,III-14表のとおりである。同様に,25年,30年,35年及び40年の各年次の対象者についての10年間にわたる累積再犯率の推移を再犯期間と関連させて見たのが,III-2図である。
昭和23年から42年までの20年間における各年次の対象者について,再犯率を比較してみると,まず,1年以内の再犯率では,33年の対象者が14.4%と最も高いが,翌34年以降の対象者では,次第に低下し,42年では6.7%となっている。しかし,2年以内,3年以内,4年以内及び5年以内の累積再犯率では,いずれも23年の対象者が最も高率を示しており,その後は,多少の起伏はあるものの,全体として見れば,その再犯率は,ほぼ一貫して低下し続けていることがわかる。5年以内の累積再犯率が40.2%と最も高率であった23年の対象者に比べて,42年の対象者のそれは19.2%とほぼ半減しているが, III-14表 再犯率の比較(昭和23年〜42年) III-2図年次別累積再犯率 これは,1年以内の再犯率で比較した場合でも同様である。ちなみに,43年以降50年に至るまでの各年次の対象者について,1年以内の再犯率を比較してみると,この間では横ばいないし若干の減少にとどまっており,50年では5.7%となっている。以上の再犯率に関する年次別比較は,すべての種類の有罪確定裁判について行ったものであるが,このほか,対象者の初犯時確定裁判の刑種が罰金刑か自由刑か,自由刑の場合でも執行猶予の有無,刑期の長短など,裁判結果別にそれぞれの再犯率を検討する余地があり,今後の研究を待ちたい。次に,非再犯者の割合,すなわち,初犯の有罪確定裁判を受けた対象者のうち,昭和52年6月1日までに再犯による有罪確定裁判を受けたことのない者の占める比率を年次別に見ると,23年の対象者では47.2%,25年では54.3%,30年では56.2%,35年では61.5%,40年では70.4%,45年では77.5%,50年では90.1%などとなっている。この非再犯者の比率は,その年次に初めて有罪裁判を受けた者の今日までにおける更生率を示す指標とも言えよう。 以上検討したように,再犯率は,最近ややその低下率が小さくなったとは言え,戦後の30年間を全体として見ると,次第に低下してきており,このことから,我が国の警察,検察,裁判,矯正,更生保護など刑事政策の各分野における実践は,再犯防止の面では一応の成功を収めていると言えるであろう。 |