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 昭和53年版 犯罪白書 第3編/第1章/第4節/2 

2 最近における前科者及び累犯者の特徴

 III-9表は,昭和51年の刑法犯通常第一審有罪人員について,主要罪名別に,犯時の身上,累犯の有無,初犯者・前科者の別などを見たものである。
 まず,初犯者・前科者の比率を見ると,前科者の占める比率は,恐喝が73.4%で最も多く,次いで,傷害の72.8%,詐欺の68.8%,窃盗の66.6%,強盗の63.0%などの順となっており,放火,殺人,横領などは比較的低率である。
 累犯の有無を見ると,全体としては,窃盗の場合の累犯が最も高率の29.8%となっており,詐欺,強盗,恐喝などがこれに次いでいる。累犯のうち3犯以上のものの占める比率は,詐欺が最も多く,以下,窃盗,強盗の順となっている。
 犯時の身上について見ると,まず,保釈中の犯罪は,総数で全体の0.4%であってそれ程多くはない。次に,執行猶予中の犯罪は,総数で全体の8.8%であって,有罪人員中前科を有する者のうちの13.8%を占めている。執行猶予中の犯罪の占める比率を罪名別に見ると,窃盗が13.1%と最も多く,次いで,恐喝の11.6%,強盗致死傷の10.1%,強盗の9.0%などの順となっている。仮出獄中の犯罪は,強盗致死傷や強盗などの凶悪犯に比較的多く見られる。

III-9表 刑法犯通常第一審有罪人員における前科者・累犯者等の特徴(昭和51年)

 なお,昭和51年の刑法犯通常第一審有罪人員のうち前科者の占める比率を年齢層別に見ると,20歳未満では13.2%,20歳以上30歳未満では56.0%,30歳以上40歳未満では73.9%,40歳以上50歳未満では73.5%,50歳以上で70.9%となっており,前科を有する者が高年齢層に比較的多いことがわかる。