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1 概 況 昭和52年に刑務所,少年院等の矯正施設から仮釈放になった者は,1万7,142人である。
仮釈放とは,矯正施設に収容されている者を,収容期間満了前の適当な時期に,仮に釈放し,社会内においてその更生を図ることを趣旨とする措置である。 昭和52年における刑務所からの仮釈放者(仮出獄者・仮出場者)は1万4,381人,少年院からの仮退院者は2,761人であり,婦人補導院からの仮退院者はない。 II-5図及びII-6図は,最近10年間の刑務所出所者及び少年院出院者をそれぞれ仮釈放者との対比において見たものである。刑務所では,昭和43年以降出所者及び仮釈放者共におおむね減少しており,一方,少年院では,出院者,仮退院者共に,43年以降減少を続けてきたが,51年から増加に転じている。概して仮釈放人員は,釈放人員総数の増減傾向と同様な推移を示している。 仮釈放は,地方更生保護委員会が,本人の資質,生活歴,矯正施設内における生活状況,将来の生活設計,帰住後の環境等を総合的に考慮し,審理・決定するが,最近5年間における許否決定の状況は,II-67表のとおりである。 II-5図 刑務所からの出所人員の推移(昭和43年〜52年) II-6図 少年院からの出院人員の推移(昭和43年〜52年) II-67表 仮釈放の種類別許否状況(昭和48年〜52年) 昭和52年における許可人員及び棄却人員は,仮出獄では許可1万4,660人,棄却1,811人で,前年に比べて,許可で152人減少し,棄却で84人増加しており,少年院仮退院では許可2,793人,棄却9人で,前年に比べて,それぞれ655人,3人増加している。最近5年間における状況を見ると,仮出獄では,許可人員は減少を続け,棄却人員も52年には増加したがおおむね減少しており,棄却率は,10%をやや超える程度で上下している。これに対して,少年院仮退院では,許可人員は51年から増加し,52年は最近5年間で最も多い人員を示し,棄却人員も50年以降増加しているが,棄却率は,49年以降0.3%と低率である。なお,少年院仮退院者の増加は,少年院の短期処遇対象者の増加によるものである。仮出獄,少年院仮退院及び婦人補導院仮退院は,保護観察と結び付いた条件付きの釈放で,仮釈放の期間中保護観察に付され,その間に遵守事項に違反したり,再犯があった場合には,事情によって仮釈放が取り消され,矯正施設に再収容されることになる。しかし,仮出場は,保護観察に付されることがなく,仮出場を取り消されて再収容されることもない。 仮釈放の期間は,仮出獄者は残刑期間の満了の日まで,少年院仮退院者は原則として20歳に達する日まで,婦人補導院仮退院者は補導処分の残期間の満了の日までである。 以下,不定期刑を除く仮出獄の運用について検討する。不定期刑受刑者の仮出獄及び少年院からの仮退院については,第4編第2章第5節において述べる。 |