4 開放的処遇 受刑者に対する分類処遇の推進によって,新しい処遇方法がそれを必要とする受刑者のために開発されてきている。その一つに開放的処遇の推進がある。我が国の開放的処遇は,交通事犯禁錮受刑者が急激に増加した昭和30年代半ばから後半にかけて,その集禁と特別の処遇方法によって本格化された。初め,豊橋刑務支所(昭和36年以来),習志野刑務支所(38年以来,後に市原刑務所として独立。なお,51年11月以降は,交通事犯懲役受刑者をも集禁する。),加古川刑務所(38年以来)などの施設において行われてきたが,現在では,これら3施設のほか,尾道刑務支所,大分刑務所,山形刑務所,函館少年刑務所及び西条刑務支所の合計8施設で行われている。また,45年には,一般の懲役受刑者に対する開放的処遇施設として,喜連川刑務支所が開設された。これらの開放的施設では,居室,食堂,工場等には原則として施錠せず,行刑区域内では戒護者を付けず,面会に際してはなるべく立会者を付けない扱いをするなど,本人の自主的態度を促すとともに,他方,生活指導,職業訓練その他社会復帰に必要な教育的処遇を積極的に行っている。 その他,開放的処遇は,YA級及びA級受刑者を収容する施設で広く行われているが,外になお,B級受刑者も含めて受刑者一般を対象とする構外作業場における処遇がある。構外作業場は,段階的処遇において,施設内の閉鎖的処遇から,中期以降の半開放的処遇を行う場として,受刑者に対する処遇上重要な役割を果たしており,受刑者の自立心を育成するとともに,外部の社会的資源を活用し,個々の受刑者の職業上の免許・資格の取得に資している。 代表的なものとしては,大井造船作業場(松山刑務所主管,収容分類級YA・A級,種目溶接・フォークリフト等),有井作業場(広島刑務所,尾道刑務支所主管,収容分類級I・A級,種目玉掛・ガス溶接等),吉松農場(鹿児島刑務所主管,収容分類級B級,種目建設機械等),最上農業学園(山形刑務所主管,収容分類級I・YA・A級,種目農業等),各務原作業場(岐阜刑務所主管,収容分類級YA・A級,種目機械等),いずみ寮(和歌山刑務所主管,収容分類級W級,種目洋裁等)などがある。
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