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 昭和53年版 犯罪白書 第1編/第2章/第7節/1 

第7節 女性犯罪

1 女性刑法犯の概況

 昭和52年における交通関係の業過を除く刑法犯検挙人員を男女別に見ると,男性検挙人員は29万4,225人であり,女性検挙人員は,6万8,919人であって,女性検挙人員が検挙人員総数中に占める割合(女性比)は,19.0%となっている。これを前年と比べると,男性検挙人員は,2,141人(0.7%)の増加,女性検挙人員は1,643人(2.4%)の増加であり,女性比は0.3%の上昇となっている。
 男性及び女性検挙人員の男女各有責人口1,000人に対する比率及び女性比を昭和28年,33年,38年,43年及び48年から52年までで示したものが,I‐57表である。男性検挙人員の有責人口比が減少を続けているのに対して,女性の場合の人口比は,起伏を示しながらも,48年以降は逐年増加を続け,女性比もまた増加の一途をたどっている。

I-57表 男女別刑法犯検挙人員の推移(昭和28年,33年,38年,43年,48年〜52年)

 次に,昭和51年及び52年における交通関係の業過を除く刑法犯検挙人員について,男女別に年齢層別構成比等を見たのが,I-58表である。52年の女性検挙人員の年齢層別構成比は,14歳以上20歳未満が34.1%,20歳代が19.7%,30歳代が18.3%,40歳代が13.6%,50歳代が8.8%,60歳以上が5.4%となっている。男性検挙人員の年齢層別構成比は,14歳以上20歳未満が32.6%,20歳代が28.4%,30歳代が19.7%,40歳代が12.5%,50歳代が4.5%,60歳以上が2.3%となっており,女性検挙人員の年齢層別構成比をこれと比較すると,女性のほうが14歳以上20歳未満と40歳以上の年齢層で高くなっている。女性比についても,同様の傾向が見られる。

I-58表 交通関係業過を除く刑法犯年齢層別・男女別検挙人員(昭和51年,52年)

 I-59表は,昭和52年の刑法犯主要罪名別の男女別検挙人員を前年と対比して示したものである。女性検挙人員の罪名別構成を見ると,窃盗が6万63人で,総数の87.2%を占め,前年に比べて1.1%の増加となっている。窃盗に次いで多いのは詐欺の1,238人であるが,その構成比は,1.8%にすぎない。
 女性比が高く,その意味で典型的な女性犯罪と言えるのは嬰児殺であるが,昭和52年では,その女性比は92.1%であって,前年の87.5%に比べて4.6%の増加である。その他,尊属殺の女性比が前年より5%増加しているほか,窃盗,強盗,詐欺,恐喝,横領,自殺関与について女性比がわずかではあるが増加を示している。

I-59表 刑津犯主要罪名別・男女別検挙人員(昭和51年,52年)

 I-8図は,刑法犯主要罪名別検挙人員の年齢層別構成比を男女別に示したものである。女性検挙人員では,14歳以上20歳末満の者の占める割合が最も高いのは,実数は少ないものの強姦・同致死傷の76.5%であり,以下,恐喝の74.3%,強盗の65.2%,強盗致死傷・強盗強姦の60.0%となっている。
 また,30歳以上の者の占める割合の高いのは,詐欺の69.1%,横領の58.4%,放火の57.0%などである。

I-8図 刑法犯主要罪名別・男女別・年齢層別検挙人員構成比(昭和52年)

 なお,男性検挙人員では,14歳以上20歳未満の者の占める割合が高いのは,窃盗の46.0%,横領の41.4%などであり,30歳以上の者の占める割合が高いのは,詐欺の78.5%,殺人の63.3%,放火の54.9%などである。