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 昭和52年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/2 

2 交通事故と交通関係業務上(重)過失致死傷事件

(1) 交通事故の態様
 我が国における交通事故の態様をは握するため,まず,昭和51年の交通事故による死傷者数を,地方別に前年と対比してみると,死亡者は各地方とも減少しているが,負傷者は関東,北海道,四国,中部の各地方で若干増加しており,その他の地方で減少している。また,51年における人口10万人当たりの交通事故による死亡者数を都道府県別に見ると,茨城,高知が15.7で最も高く,以下,鳥取,山梨,三重,滋賀,徳島などが高率であり,東京,大阪は極めて低率となっている。人口10万人当たりの負傷者数では,徳島,京都,和歌山,広島,静岡,福岡などが高率であり,沖縄,山形,秋田,東京,宮城などが低率となっている。
 昭和51年中の交通事故について,事故の主要な原因となった自動車の種類別に事故発生状況を見てみると,自家用自動車による事故が総数の80.9%,事業用自動車による事故が10.0%となっている。また,乗用自動車による事故が総数の58.3%,貨物自動車によるものが32.4%,二輪自動車・原動機付自転車のそれが9.1%,特殊自動車のそれが0.2%となっている。
 III-70表は,最近5年間における自動車による人身事故を,事故の類型別に見たものである。昭和51年では,前年に比べて,人対車両の事故,車両単独の事故がいずれも減少し,車両相互間の事故が増加している。
 また,昭和51年の車両相互間の事故について,事故態様別に構成比を見ると,追突事故が31.1%,出合い頭の衝突事故が26.2%,右折時の側面衝突事故が13.7%となっている。人対車両の事故では,横断歩行中の事故が最も多い。
 昭和51年の交通事故死亡者を,事故時の状態別に見ると,自動車(二輪自動車を除く。)乗車中のものが総数の38.1%,歩行中及び自転車乗車中のものが45.1%,二輪自動車・原動機付自転車乗車中のものが15.6%,その他が1.2%となっている。

III-70表 事故類型別人身事故発生状況(昭和47年〜51年)

(2) 交通関係業務上(重)過失致死傷事件
 最近3年間について,交通関係業務上(重)過失致死傷事件の検察庁への送致件数及び送致人員を罪名別に見ると,III-71表のとおりである。昭和51年では,交通関係の業務上(重)過失致死傷事件で検察庁へ送致された事件の総数は,44万3,616件,47万1,357人であり,件数,人員共に前年より増加している。

III-71表 交通関係業務上(重)過失致死傷送致件数及び送致人員(昭和49年〜51年)