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 昭和52年版 犯罪白書 第3編/第1章/第7節/1 

第7節 少年の更生保護

1 少年の仮釈放

 仮釈放の全般の概要については,既に第2編第3章第1節で取り上げているので,ここでは,少年院在院者の仮退院と,不定期刑受刑者の仮出獄について述べる。
(1) 少年院からの仮退院等
 少年院在院者については,地方更生保護委員会が,その少年が矯正処遇の最高段階(つまり,1級の上)に達し,社会内処遇としての保護観察に付することが,更生上相当であると認めたとき,又は矯正処遇の最高段階には達していないが,本人の努力によって成績が向上し,社会内処遇としての保護観察に付することが更生上特に必要であると認めたときに,仮退院の許可決定を行う。なお,地方更生保護委員会の審理は,独自の職権で開始することもできるが,近年その例はなく,すべて少年院長からの申請に基づいて行われている。
 昭和51年における全国の地方更生保護委員会の仮退院申請受理,仮退院許可,仮退院申請棄却の人員は,II-57表に示したとおりで,いずれも前年に比べて増加している。このような増加は,主として,短期処遇を実施する少年院に送られる少年の数が増加したためである。50年6月から51年末までの間に,地方更生保護委員会が短期処遇実施の少年院から受けた仮退院申請人員,同許可決定の人員は,III-58表に示すとおりである。
 少年院からの出院には,仮退院及び満期・満齢の退院のほか,地方更生保護委員会の決定による退院がある。地方更生保護委員会の決定による退院は,在院者の資質,生活歴,少年院内の生活状況,将来の生活設計,帰住後の環境などから判断して,社会の順良な一員として更生することが確実であり,かつ,あえて保護観察に付する必要がないと認められたときに許可される。過去5年間の少年院からの仮退院と退院の人員の推移は,III-59表のとおりであり,出院者の大部分は仮退院者である。

III-58表 短期処遇実施の少年院からの仮退院申請受理・処理人員(昭和50年,51年)

III-59表 少年院からの仮退院・退院別人員(昭和47年〜51年)

(2) 不定期刑受刑者の仮出獄
 不定期刑受刑者についても,仮出獄審理の手続,仮出獄許可の基準は,定期刑の場合と変わらないが,その要件期間は,短期の三分の一を経過した後とされている。過去5年間の不定期刑受刑者に対する仮出獄許否決定の状況は,III-60表のとおりであり,許可人員,棄却人員共におおむね減少傾向にある。次に,仮出獄を許可された者について見ると,III-61表に示すとおり,短期経過後に許可されている者の方が多い。もっとも,過去5年間の推移を見ると,その短期経過前の者の割合が次第に増加してきている。また,同表に掲げた者と同一の者について,刑の長期を100として(厳密に言えば,算入された未決勾留日数,留置日数を除いた残りの期間を100とする。),仮出獄までの在監期間の比率(執行率)の段階別に人員分布を見ると,III-62表のとおりで,執行率の低い者,すなわち,早期に仮出獄を許される者の割合が次第に増加している。

III-60表 不定期刑仮出獄決定状況(昭和47年〜51年)

III-61表 不定期刑仮出獄の短期経過前・後の許可人員の比率(昭和47〜51年)

III-62表 不定期刑仮出獄者の執行率(昭和47年〜51年)