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 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節 

第5節 更生保護における公衆参加

 更生保護事業は,いずれの国においても,民間篤志家の慈善的な保護活動として始まり,その後,この事業の国家的重要性から,次第に公的機関及びその職員がこれに関与するに至っている。更生保護事業は,その国の歴史的・文化的・社会的な背景や犯罪情勢などから,それぞれ独自の発展を見ており,その運営形態は国によって異なっている。諸国における更生保護事業の運営形態には,大別して,次のようなものがある。
 [1] 更生保護事業が公的機関及びその職員によって行われているもの。これには,対象者の処遇を専ら国の専門職員の責任とするものと,対象者の処遇に,国の専門職員のほか民間の篤志家を関与させるものとがある。
 [2] 更生保護事業が民間の篤志団体に委託され,国がこれに財政援助・監督をして,行われているもの。
 これらの更生保護事業における公衆参加の状況について,以下,我が国を中心に,アメリカ(アメリカ合衆国),イギリス(イングランド及びウェールズ),西ドイツ(ドイツ連邦共和国),フランスにおける特徴的傾向を検討することとする。