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 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/4 

4 開放的処遇

 開放的処遇は,受刑者に対する分類処遇の推進によってもたらされた一つの新しい処遇方法であって,欧米諸国において,戦後著しい展開を見ている。我が国においても,交通事犯禁錮受刑者の急激な増加に直面し,その集禁と特別の処遇方法の開発によって本格化されるに至った。初め,豊橋刑務支所(昭和36年以来),習志野刑務支所(38年以来,後に市原刑務所として独立。なお,51年11月以降は,交通事犯懲役受刑者をも集禁する。),加古川刑務所(38年以来)など二,三の施設において部分的に行われ,39年以降全面実施の運びとなった。その結果は,例えば,II-42表の市原刑務所の出所者に関する調査に見られるように,その再入率は2.5%程度で極めて低く,行刑上好ましい傾向を示していると言える。現在,このような交通事犯禁錮受刑者の集禁及び開放的処遇は,上記の3施設のほか,尾道刑務支所,大分刑務所,山形刑務所,函館少年刑務所及び西条刑務支所の合計8施設で行われている。また,45年には,一般の懲役受刑者に対する開放的処遇施設として,喜連川刑務支所が開設され,農業・土木の職業訓練を中心に同様な開放的処遇が実施されている。これらの開放的施設では,居室・食堂・工場等には原則として施錠せず,行刑区域内においては戒護者を付けず,面会に際してはなるべく立会者を付けない扱いとし本人の自主的態度を促すとともに,他方,生活訓練,職業指導その他の社会復帰に必要な教育的処遇を積極的に展開している。
 このほか,構外作業場における一般受刑者に対する開放的処遇も,逐次展開されている。特に,それは釈放前処遇として重要な役割を果たしつつある。

II-42表 市原刑務所出所者再入率(昭和38年3月1日〜52年6月30日)