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1 矯正 刑務所及び拘置所における暴力団関係者は,近年著しく増加の傾向を示し,その処遇対策が,大きな課題の一つとなっている。
III-127表は,最近7年間の新受刑者中に占める暴力団関係者の割合を示したものである。ここ数年来,新受刑者数は,昭和47年を境に,その後は全体として減少傾向にある(50年は前年に比べてわずかに増加している。)のに対して,暴力団関係者は,逐年,著しく増加の傾向にある。新受刑者中に占める暴力団関係者の割合は,44年の13.5%から50年の21.0%まで上昇し,47年以降は,毎年5,000人を超えている。 III-127表 新受刑者中暴力団関係者の比率(昭和44年〜50年) また,昭和50年末現在の収容者について暴力団関係者の占める割合を見ると,受刑者については約21%,未決拘禁者については約18%が暴力団関係者となっている。以下,暴力団関係者の特性を年齢,刑種,刑期及び入所度数等について概観することとする。 III-128表は,昭和50年における新受刑者中の暴力団関係者について年齢層別の構成比を示したものである。20歳代の者が43.4%,30歳代の者が42.3%で,大部分がこの年代の者である。これを新受刑者全体の同様構成比と比較すると,暴力団関係者では,20歳代及び30歳代の者の占める割合が高くなっている(II-32表参照)。 III-128表 暴力団関係新受刑者の年齢層別構成比(昭和50年) 次に,昭和50年の新受刑者中の暴力団関係者について刑種別に見ると,懲役が総数の99.6%を占め,禁錮は0.4%にすぎない。これを新受刑者全体の同様構成比と比較すると,暴力団関係者では,懲役の割合が著しく高くなっている(II-34表参照)。また,同じ暴力団関係者の懲役受刑者について刑期別に見ると,刑期1年以下の者が総数の55.7%を占め,その割合は,逐年増加する傾向にある。更に,昭和50年の新受刑者について,暴力団関係者の入所度数別構成比を示すと,III-26図のとおりである。これを新受刑者全体の同様構成比と比較すると,暴力団関係者では,入所初度の者の割合が低いのに対し,入所2度ないし5度の者の割合が高くなっている(II-38表参照)。このことから暴力団関係者には,繰り返して犯罪を犯し,度々刑務所に入所している者の多いことがわかる。 III-26図 暴力団関係新受刑者の入所度数別構成比(昭和50年) このような暴力団関係者は,ややもすると所内で結合して職員を威圧し,あるいは他の集団と反目対立して重大事故を招きやすい。その対策としては,必要に応じてこれを分散移送し,また,関係機関とも緊密な連携を取るなどして,施設内での事故発生を抑止するための施策を講じている。暴力団関係受刑者の改善更生のための矯正処遇については,特に,[1]刑務作業を通じて勤労の精神をかん養させるとともに,労働の習慣を培わせ,[2]職業に関する知識・技能の習得,資格・免許等の取得に努めさせ,[3]生活指導を通じて正常な社会生活に必要な基本的知識及び生活態度を得させ,[4]しつけ教育,道徳教育を施すとともに,[5]暴力団からの離脱,正常な保護関係の回復を図り,健全な社会生活に復帰させるための努力が払われている。 |