III-9表は，最近10年間の女子少年刑法犯の検挙人員を罪種別に示したものである。昭和50年においては，41年以降最大の数値を示し，その増加には著しいものがある。少年刑法犯の検挙人員中に占める女子少年の比率(女子比)は，50年が最大であるが，その比率が最小であった41年と対比して，罪名別に男女少年の構成比を見たのが，III-10表である。45年以前において極めて低率であった女子比は，46年に初めて1割を超え，引き続き増勢を示しているが，50年では，41年の約2倍に当たる16.3％に達し，その上昇率は著しく大きい。

III-9表　罪種別女子少年刑法犯検挙人員の推移(昭和41年〜50年)

III-10表　男女別少年刑法犯検挙人員の構成比(昭和41年・50年)

　更に，罪名別に見ると，例年，女子少年刑法犯の大多数を占める窃盗は，昭和50年においても90.9％という高率を示し，依然として女子少年犯罪を特徴づける罪名となっている。その他の罪名の占める比率は経めて小さいが，50年の動向を41年との比較(構成比〉において見ると，恐喝，暴行，傷害等の粗暴犯の横ばい，詐欺及びわいせつの激減のほか，殺人，強盗，放火などに若干の減少が見られる。
　両年を対比して，女子比の増大が著しく，しかも，それは窃盗だけではなくて，横領，わいせつ，放火を除く他のすべての罪名において増大していることが注目される。女子少年犯罪は，量的に増加することはもちろん，質的にも転換しつつあると言える。