第2節 犯罪傾向の進んだ受刑者 近年,犯罪傾向の進んだ受刑者に対する関心が部内外に高まりつつある。その一つが,犯罪傾向はかなり進んでいるが,しかし,その心身はなお未成熟であって,改善更生の可能性が大きいYB級受刑者(26歳未満の成人で犯罪傾向が進んでいると分類された者)に対する特別処遇の問題である。 法務総合研究所は,昭和49年以降,全国13の矯正施設を対象として「犯罪傾向の進んだ若年成人受刑者の処遇に関する研究」を継続実施中であるが,これまでに得られた調査結果の中から問題点の二,三について考察することとする。 この研究は,YB級受刑者とその比較対照群としてのYA級受刑者(26歳未満の成人で犯罪傾向が進んでいないと分類された者)及びB級受刑者(26歳以上で犯罪傾向が進んでいると分類された者)を選択し,人格,環境及び犯罪性の三つの側面について比較したものであるが,その概要は,次のとおりである。
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