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3 応急の救護・援護 前段でも述べたように,保護観察中の者に対する援護の措置は,更生緊急保護とは性格を異にしている。保護観察処分少年,少年院仮退院者,仮出獄者及び婦人補導院仮退院者の場合,国が金品を給与したり,更生保護会等に宿泊保護を委託したりする措置を「応急の救護」といい,保護観察付執行猶予者の場合を「援護」と呼んでいる(以下,その両者を併せて「救(援)護」という。)。
救(援)護の実施において具体的に行われる保護措置の内容は,更生緊急保護のそれと同一であり,措置の一般原則,実施基準,措置の種類・内容その他共通に適用しても矛盾がない事項は,すべて救(援)護に準用されるので,一括して取り上げることとする。 II-79表は,最近5年間の救(援)護の措置人員の累年比較である。総数の80%前後が例年仮出獄者によって占められており,その傾向は,昭和50年においても変わらないが,更生緊急保護においては,前年より刑の執行終了者が515人,起訴猶予者が360人,刑の執行猶予者が279人それぞれ増加しているのに対して,救(援)護においては,同表に見るとおり,総数は9,849人と依然減少傾向が続いている。これを事件種別に見ると,保護観察処分少年,少年院仮退院者における減少傾向,仮出獄者の横ばい,保護観察付執行猶予者における増加の各現象が見られ,ここでも更生緊急保護と救(援)護の性格上の相違がうかがわれるのである。 II-79表 救護・援護の措置人員累年比較(昭和46年〜50年) II-80表は,昭和50年中における自庁による救(援)護の実施状況を,II-81表は,更生保護会への委託保護による救(援)護の実施状況を,それぞれ示したものである。自庁による救(援)護の措置を受けた人員は4,776人,更生保護会に委託された人員は5,026人で,前年に比べて前者においては383人の減少,後者においては260人の増加となっている。全体としての減少傾向の中に,仮出獄者及び保護観察付執行猶予者の更生保護会委託がやや増加傾向にあることは,先に指摘した経済不況との関連を示すものとも考えられる。II-80表 保護観察対象者に対する自庁による救護・援護の実施人員(昭和50年) II-81表 保護観察対象者に対する更生保護会への委託による救護・援護の実施人員(昭和50年) なお,更生緊急保護の場合には認められていないが,保護観察中の者に対する救(援)護においては,更生保護会以外の適当な団体又は個人に委託して保護を行ういわゆる個人委託が認められており,昭和50年には,この個人委託は47人であった。 |