第3節 受刑者の処遇
1 分類調査 新たに刑が確定し,刑務所に入所した受刑者に対しては,入所時教育と並行して,分類調査が行われる。この分類調査は,受刑者の矯正と社会復帰の促進のため,個々の受刑者について科学的な調査を行い,各人の持つ問題と資質との関係を明らかにして,本人に最もふさわしい処遇計画を立て,これに基づいて矯正処遇を実施しようとするもので,現代の各国行刑がほぼ一致して認める技術的制度である。現行の受刑者分類制度は,昭和47年4月に制定され,同年7月から施行された「受刑者分類規程」に基づいて行われている。 分類調査は,[1]医学,心理学,教育学,社会学等の専門的知識及び技術に基づき,[2]入所時調査及び再調査(入所時調査後,執行刑期8月未満の者についてはおおむね2月ごと,その他の者についてはおおむね6月ごとに定期に行い,又は必要の都度臨時に行う調査)として行われ,[3]入所時調査の期間は,おおむね2箇月とされ,[4]心情相談,心理治療,オリエンテーションその他の適当な措置が併せ行われる。 分類調査に当たっては,各種の質問紙法,投影法,適性検査等の心理テストも活用されるが,特に受刑者に適する心理テストとして,昭和40年以来,法務省式の文章完成法,人格目録,態度検査等が開発されている。このような調査結果を総合して,受刑者の分類級(後出の収容分類級及び処遇分類級)の決定,居房配置の決定,保安・作業・教育等の処遇指針の決定,移送の実施,累進処遇の審査,仮釈放申請の審査,釈放に伴う必要な措置等収容及び処遇の実施に役立てている。 分類処遇体制を充実する施策の一環として,全国各矯正管区ごとに分類センターとしての施設(中野・名古屋・広島・福岡・宮城・札幌・高松の各刑務所及び大阪拘置所)が指定され,[1]一定基準に該当する新受刑者の入所時調査及びその結果による処遇施設への移送,[2]再調査としての精密調査及び治療的処遇,[3]他の施設に対しての分類に関する助言指導等を行っている。
|