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 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第4章/第3節/1 

第3節 保護観察

1 概説

 保護観察とは,犯罪や非行をした者の身柄を拘束することなく,社会の中で通常の生活をさせながら,その者に課した遵守事項を守るように指導監督をするとともに,必要と認める補導援護をすることによって,改善更生を援助し社会復帰を図る処遇の制度をいい,その内容である指導監督の方法として,対象者と適当な接触を保つことが要件とされ,補導援護の実施には,それを受ける対象者の自立自助の責任が前提とされている。
 我が国の保護観察は,矯正施設収容前の段階にある者に対して行われるいわゆるプロベーションに該当するものと矯正施設から仮釈放された者に対して行われるいわゆるパロールに該当するものの二つに分類されるが,この二つのものが統合され,統一的に実施されている。
 保護観察の対象となる者は,次の5種類であり,[1]と[4]が前者に該当し,[2],[3],[5]が後者に該当する。
[1] 家庭裁判所の決定により保護観察に付された者(以下,「保護観察処分少年」という。)
 その期間は,保護処分言渡しの日から20歳に達するまで。ただし,20歳に達するまでの期間が2年に満たない者については2年間。例外的に23歳まで。
[2] 地方更生保護委員会の決定により,少年院からの仮退院を許されている者(以下,「少年院仮退院者」という。)
 その期間は,仮退院の決定による出院の日から仮退院の期間が満了するまで。通常は20歳に達するまでであるが,26歳を超えない範囲で例外が認められている。
[3] 地方更生保護委員会の決定により,仮出獄を許されている者(以下,「仮出獄者」という。)
 その期間は,仮出獄の決定による出獄の日から残刑期間が満了するまで。無期刑は,恩赦によらない限り終身。ただし,少年のとき無期刑の言渡しを受けた者は,仮出獄後10を経過するまでの期間。なお,少年法による定期刑,不定期刑にも例外が認められている。
[4] 裁判所の判決により,刑の執行を猶予され,保護観察に付された者(以下,「保護観察付執行猶予者」という。)
 その期間は,判決確定の日から,執行猶予期間満了まで。
[5] 地方更生保護委員会の決定により,婦人補導院からの仮退院を許されている者(以下,「婦人補導院仮退院者」という。)
 その期間は,仮退院による出院の日から補導処分の残期間満了まで。