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 昭和48年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節 

第3節 女性犯罪の特色

 次に,最近における我が国女性犯罪の一般的特色について検討する。
 昭和47年に検察庁で既済となった刑法犯と特別法犯(道交違反を除く。)の男女別被疑者の年齢別人員については,III-120表のとおりである。これによると,女性の割合は,総数では7.6%であるが,年齢層別にみると,25歳未満の6.2%を最低として,年齢が高くなるに従って,その割合が大きくなっている。

III-120表 被疑者の検察庁受理時の年齢層別・男女別人員(昭和47年)

 また,昭和47年に検察庁で起訴又は起訴猶予となった刑法犯の男女別被疑者について,初犯者と罰金以上の前科のある者の割合をみると,男性被疑者の場合には初犯者が65.0%にすぎないが,女性の場合は初犯者が91.3%を占めている。
 次に,昭和47年に検察庁で既済となった事件の被疑者について,主要罪名別に,男女別人員と総数中に占める女性の比率をみると,刑法犯についてはIII-121表のとおりであり,特別刑法犯についてはIII-122表のとおりである。まず,刑法犯についてみると,女性被疑者の絶対数では,業務上(重)過失致死傷が最も多く,次いで,窃盗が多数を占めている。また,女性の占める比率は,子供の出産や養育に関連のある嬰児殺,遺棄及び過失致死傷などの罪名において,極めて高くなっている。失火,自殺関与及び殺人などにおいても,女性の占める割合が比較的高率である。これに対して,暴行,傷害,恐喝,強盗などの暴力的な犯罪では,女性の比率は著しく低いものになっている。

III-121表 刑法犯被疑者の主要罪名別・男女別人員と女性の占める比率

III-122表 特別法犯被疑者の主要罪名男別・男女別人員と女性の占める比率(昭和47年)

 このように,女性の身体的,心理的特性と社会的な諸条件は,女性犯罪の罪名別における量的差異となって現れるとともに,女性が犯す犯罪の動機,手段及び被害者などにおける特徴となって出現する。すなわち,女性の割合の比較的高い殺人や放火などの動機には,人間関係のもつれによるしっと,えん恨及び憎悪などによる事例が多く,また,殺人の手段として,女性は薬物を使用したり,被害者が睡眠中の機会を利用して犯行を行うなどの場合が多くなる。更に,女性犯罪の被害者の多くは,加害者と密接な関係をもつ夫,愛人,子供及び知人などである。
 次に,特別法犯についてみると,女性の占める割合は,売春防止法違反では80.1%に達しているほか,あへん法違反で67.0%,風俗営業等取締法違反で56.2%という高い比率を示している。これらは,女性が売春婦,けしの栽培者,風俗営業の接客婦などとして各法律に違反する行為をする機会が多いことによるものである。