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2 少年の保護観察 保護観察一般については,既に第2編第3章第2節で述べたので,ここでは保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護観察について,若干の事項を補足するにとどめる。
(1) 保護観察処分少年 昭和47年中に,新たに保護観察所が受理した保護観察処分少年の総数は,2万3,900人で,前年に比べて1,503人(6%)の減少となっている。また,同年末現在の保護観察処分少年の人員は,4万6,633人で,保護観察の対象者総数の60%を占めている。
次に,最近5年間の保護観察処分少年新受人員を年齢別にみると,III-107表のとおりである。これによると,昭和45年以降は,年少少年及び中間少年の比率がふえてきており,昭和47年においては,年少少年8%,中間少年35%,年長少年57%の割合になっている。 III-107表 保護観察処分少年(新受)の性別・年齢別人員(昭和43年〜47年) 同表により,昭和47年の性別についてみると,女子は823人で,総数の3.4%である。これを年齢層別にみると,女子は男子よりも年長少年の比率が小さく,中間・年少少年の割合が目立って高い。(2) 少年院仮退院者 昭和47年中に新たに受理した少年院仮退院者の総数は2,540人で,前年に比べて12%という大幅な減少を示した。同年末現在の人員は3,484人で,保護観察の対象者総数中に占める割合は,4.5%である。
最近5年間の少年院仮退院者新受人員について,その年齢層別による推移をみたものが,III-108表である。昭和47年の比率は,年少少年が3%,中間少年が24%,年長少年が73%で,最近2年間,年少少年と中間少年の比率がやや上昇している。 III-108表 少年院仮退院者(新受)の性別・年齢層別人員(昭和43年〜47年) 更に,昭和47年の新受人員についてその性別をみると,女子は230人で9.1%を占め,保護観察処分少年の場合よりも高率である。男子と女子の年齢層分布では,男子のうち年少・中間少年の比率はそれぞれ3%及び23%であるのに対し,女子のうち年少・中間少年は,それぞれ4%及び40%で,保護観察処分少年の場合と同じく,女子の方が低年齢に偏っている。(3) 少年の保護観察の成績等 昭和47年中に保護観察を終了した保護観察処分少年2万7,583人及び少年院仮退院者3,092人を,保護観察終了時の成績等の状況に応じ,良好,普通,不良,及びその他の4群に分けてみたものが,III-109表の[1]ないし[3]である。ここに良好群とは,保護観察処分少年については,解除及び期間満了者のうち成績が良,やや良,停止中の者を,少年院仮退院者については,退院及び期間満了者中成績が良,やや良の者をいい,他方,不良群とは,保護観察処分少年については,保護処分取消,身柄拘束中及び期間満了者中成績が不良の者を,少年院仮退院者については,戻し収容,保護処分取消,身柄拘束中及び期間満了者中成績が不良の者をいう。保護観察処分少年,少年院仮退院者とも,普通群とは期間満了者中成績が普通の者をいい,その他とは,停止中,身柄拘束中以外で成績の評定がなかった者一切を含む。
III-109表 保護観察の成績別構成比(昭和47年) そこで,まず同表[1]についてみると,総数では,保護観察処分少年中,良好群70%,不良群9%であるのに対し,少年院仮退院者では,良好群33%,不良群26%となっており,保護観察処分少年の方が目立って成績が良い。これを男女別にみると,保護観察処分少年では,女子の良好群の比率(63%)が,男子の場合(70%)よりもわずかに低くなっているが,少年院仮退院者においては,女子の良好群の比率が男子よりも高く,不良群の比率(17%)は,男子の場合(27%)よりも目立って低い。次に,年齢との関係をみると,保護観察処分少年では,年少,中間,年長となるに従って,良好群の比率がそれぞれ55%,68%,73%と次第に高くなり,逆に,不良群の方は,19%,13%,6%と,顕著に低くなっている。これに対して,少年院仮退院者の場合は,年少・中間少年の間には余り差はないが,それらと年長少年の間では,後者の成績が目立って良くなっている。 次の[2]表は,教育程度別に成績をみたものであるが,これによると,保護観察処分少年,少年院仮退院者とも,学歴が進むに従って良好群の占める割合が高くなり,不良群の割合が低くなる傾向がみられる。 [3]表は,同じく成績を居住状況別にみたものであるが,これによると,保護観察処分少年では,保護委託先に起居する者を除き,いずれも良好が半数を超えており,特に,家族・親族と同居する者は,良好が7割を超え,成績が良い。保護委託先に起居する者は,良好23%に対し不良44%で,最も劣っている。少年院仮退院者の場合,良好群の率の最も高いのは,単身居住者及び家族・親族と同居する者であるが,良好群の割合はそれぞれ37%前後にとどまっている。 最後に,保護観察に付された者のうちどれくらいの割合のものが5年以内に再犯をし,刑事処分又は保護処分を受けているかをみたのが,III-110表である。同表は,昭和43年中に保護観察に付された保護観察処分少年2万8,549人と少年院仮退院者5,016人のそれぞれに対する,その後逐年の再犯処分率を示している。これによると,保護観察処分少年の再犯処分のピークは第2年,第3年にわたり,それぞれ4〜5%といったところであるが,少年院仮退院者のピークは第2年にみられ,12%弱である。第5年までを累積した再犯処分の比率は,保護観察少年13.1%,少年院仮退院者24.6%で,後者の比率は前者の2倍に近い。 III-110表 保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護観察期間中の再犯処分比較(昭和43年〜47年) |