前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和48年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/5 

5 保護観察中の再犯及び保護観察終了状況

 昭和47年中に保護観察が終了した者の総数は5万5,140人で,そのうち,3万7,760人(68%)は保護観察期間満了によるものである。このほか,前に述べたように,保護観察成績の良好者又は不良者に対する特別措置,あるいは再犯等により,保護観察期間の中途で保護観察を終了する者がある。
 昭和47年中に保護観察を終了した者の終了事由別による概況は,II-105表のとおりである。期間満了の占める率では仮出獄者の場合が最も高く(94%),次いで,少年院仮退院者(83%),保護観察付執行猶予者(77%),保護観察処分少年(49%)の順となっている。

II-105表 保護観察終了者の終了事由別人員(昭和47年)

 次に,保護観察の成績良好者に対する終了措置によるものの割合をみると,保護観察処分少年の解除は44%であるのに対し,少年院仮退院者の退院は2%にとどまっている。なお,保護観察付執行猶予者については,解除に相当する制度がなく,仮解除の制度があるにとどまる。
 再犯等による取消では,保護観察付執行猶予者中の比率(22%)が最も高く,少年院仮退院者(14%),保護観察処分少年(7%),仮出獄者(5%)の順となっている。仮出獄者の取消率が低いのは,仮出獄期間が一般に短いためであると考えられる。
 昭和47年中に保護観察を終了した者のうち,保護観察中の犯罪・非行により処分された者の処分別状況は,II-106表のとおりである。これによると,処分を受けた者の総数は6,914人で,保護観察終了総人員の13%弱に当たる。これを保護観察の種別ごとの割合でみると,保護観察処分少年で12%,少年院仮退院者で25%,仮出獄者で5%,保護観察付執行猶予者で27%である。仮出獄者の割合が低いのは,取消率に関連して前述したところと同じ理由によると考えられる。保護観察中の犯罪・非行に対する処分の数では,懲役,少年院送致,罰金,保護観察の順となっており,特に,保護観察付執行猶予者の場合は,処分の82%まで懲役刑が占めている。

II-106表 保護観察中の犯罪・非行により処分された者の状況(昭和47年)