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 昭和48年版 犯罪白書 第1編/第4章/第5節/2 

2 大阪の犯罪動向及び東京との比較

 1963年から1972年までの大阪における業過を除く刑法犯の発生件数の推移を示したのが,I-79表である。大阪市では,人口が1963年の309万人から1972年の286万人に減少しているが,同表により,1963年を100とする指数で発生件数の推移を示すと,1972年において,総数は59に減少しており,罪名別にみると,放火が176,わいせつが126に増加しているのを除けば,その他の罪名では,88ないし19に減少している。

I-79表 業過を除く刑法犯発生件数(大阪市)(1963年,1965年,1967年,1969年,1971年,1972年)

 次に,東京と大阪における犯罪動向を比較すると,業過を除く刑法犯総数については,1972年の東京における発生率(人口10万人当たり)は2,034であり,大阪の発生率1,810よりも高く,また,過去10年間の東京における減少率は,大阪の減少率よりも低くなっている。1972年の両都市における罪名別の発生率を比較すると,殺人では,大阪の発生率が3.7であり,東京の発生率2.1を上回っているが,強盗,強姦及び窃盗では,逆に,東京の発生率(強盗2.6,強姦4.0,窃盗1,648.4)が,大阪の発生率(強盗1.8,強姦2.4,窃盗1,465.6)よりも高くなっている。既に述べたとおり,この両都市における業過を除く刑法犯は,いずれも減少する傾向にあるが,両都市を比較すると,全般的にいって,大阪の犯罪情勢の方が東京よりもなお鎮静化しているといえよう。