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 昭和48年版 犯罪白書 第1編/第3章 

第3章 犯罪の地域的特性とその動向

 近年,我が国の経済は飛躍的な発展を遂げてきており,これに伴って,国民は社会生活のあらゆる側面で急激な変化を経験するに至っているが,かかる社会事情の変化は,国民の生活感情や価値観にも多大の影響を及ぼしている。犯罪は,社会現象として,ある時代の社会構造に規制されているものであるから,犯罪の発生件数及び犯罪発生率が地域及び年代により相違することは,当然のことといってよいであろう。
 ところで,近年における急激な社会変動の中にあって,我が国の犯罪の地域的分布状態にはどのような変化を生じているであろうか。昭和47年版の白書では,社会変動の指標として人口移動をとらえ,その増減の観点から,主として,都市と地方,都市とその周辺部の地域を比較検討することによって,日本列島の犯罪動態の考察を試みたのであったが,本年版の白書においては,最近10年間における,罪種別の犯罪発生率の推移を地域別に考察することによって,我が国における犯罪の地域的特性とその動向を概観するとともに,罪種別の犯罪発生率と人口移動の関係について,更に検討を進めることとしたい。