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 昭和48年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/1 

第2節 特別法犯の概況

1 概説

 特別法犯については,発生件数等を示す資料がないので,検察庁の新規受理人員によって,その傾向をみることとする。
 昭和47年における特別法犯の検察庁新規受理人員を前年と対比したのが,I-33表である。これによると,昭和47年の道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反(道交違反)を除く特別法犯(その他の特別法犯)の新規受理人員は,前年より2万4,903人減少して,14万1,770人となっている。しかし,道交違反は前年より23万8,858人増加して,173万7,508人となっている。その他の特別法犯について,罪名別に前年と比較すると,最も増加しているのは,覚せい剤取締法違反であり,実数で3,008人増加し,比率では94.7%の増と2倍近い増加となっている。そのほか,前年より増加しているのは,麻薬取締法,競馬法,法人税法,自転車競技法,あへん法,道路運送車両法,外国人登録法,出入国管理令,火薬類取締法,所得税法,銃砲刀剣類所持等取締法及び職業安定法の各違反である。その他の罪はいずれも減少しているが,特に,公職選挙法違反が3万215人減少し,自動車損害賠償保障法違反も1,649人減少している。なお,麻薬取締法違反については,復帰後の沖縄県における受理人員169人を差し引くと,他の都道府県の受理人員では,前年より減少している。このように,その他の特別法犯が47年に前年と比べ減少した主な理由は,公職選挙法違反の激減によるものであるが,同法違反が減少したのは,46年には参議院通常選挙及び統一地方選挙が行われたのに対して,47年には全国的な選挙として衆議院議員総選挙が行われたにすぎなかったためである。

I-33表 特別法犯の検察庁新規受理人員(昭和46年・47年)

 また,道交違反の内訳については,道路交通法違反では,前年より23万8,917人増加し,自動車の保管場所の確保等に関する法律違反では,59人の減少となっている。
 次に,昭和47年を中心として,最近における特別法犯の動向を,保安関係,財政経済関係,麻薬・覚せい剤関係及び風俗関係に分けて,詳述することにする。なお,交通犯罪,選挙犯罪,外国人犯罪,公害犯罪については,それぞれ改めて検討するので,ここでは省略する。