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 昭和47年版 犯罪白書 第三編/第二章/四/2 

2 保護観察

 道路交通法違反および業務上過失致死傷または重過失致死傷により昭和四六年中に新たに保護観察の対象となった者の総数は一八,四一九人で,これは同年の保護観察新受人員の三五・一%を占める(III-131表参照)。同表により保護観察の種別ごとにその比率をみると,保護観察処分少年五三・三%,少年院仮退院者三・二%,仮出獄者二二・二%,保護観察付執行猶予者一三・六%となっており,少年院仮退院者を除いては,交通犯罪者が相当の比重を占めているが,中でも保護観察処分少年の場合新受総数の半分以上を交通犯罪者が占めている点が注目される。

III-131表 保護観察新受人員と,うち交通犯罪者の占める数(昭和46年)

 次のIII-132表は,道路交通法違反と業務上(重)過失致死傷とに分けてみた昭和四二年以降五年間の新受人員の推移で,保護観察処分少年を除き,すべて四六年においても増加がみられる。

III-132表 交通犯罪の保護観察対象者受理状況(昭和42〜46年)

 これらの二表が示すとおり,近年交通犯罪で保護観察の対象となる者の七割以上は,保護観察処分少年である。交通犯罪少年は,交通法規や安全運転に関する知識を欠き,あるいはこれを軽視する傾向があるので,全国の大部分の保護観察所では,いわゆる集団処遇を導入し,処遇の効率化を図っている。集団処遇の方法は,各地の実情に応じて多少異なるが,たとえば,映画やシミュレーターを用い,または講義や討論を通じて運転に必要な知識,技術を習得させるとともに,交通道徳と運転者としての正しい態度を身につけさせることをねらいとして,講習会を定期的に開催する等の方法をとっている。
 おわりに,交通犯罪による保護観察対象者の保護観察終了時の成績を保護観察終了者全員のそれと比べると,次のIII-133表のとおりである。これによると,全種別とも交通犯罪者の方が成績「良好」の率が高く,「不良」の率が低くなっており,交通犯罪による対象者の経過は比較的良好であることがわかる。

III-133表 保護観察終了人員中交通犯罪を犯した者の終了事由別状況(昭和46年)